■アムロ以上の恐ろしい成長速度!?
そこからF91に乗って戦い続けたシーブックは、最終的にクロスボーン・バンガードが誇る巨大モビルアーマー「ラフレシア」と戦うことになります。
このラフレシアは、高出力のIフィールドバリアに守られた分厚い防御、ネオサイコミュシステムで制御された全125本の攻撃用触手「テンタクラーロッド」や大型のメガ粒子砲などを兼ね備えた、強力な機動兵器です。
その対ラフレシア戦で、シーブックはF91の性能をフルに発揮。F91の熱を放出する際に発生する装甲表面の塗装や金属が剥離する現象、いわゆる「質量を持った残像」を生み出したことでラフレシアのセンサーが誤認。搭乗者のカロッゾ・ロナも、分身したかのように高速移動するシーブックのF91を捉えきれず、敗北しました。
結果だけ見ると「ラフレシアが弱かったのでは?」と思われるかもしれませんが、そんなことはありません。ラフレシアは月からやってきた地球連邦の艦隊、MS部隊を単騎で全滅させたほどですし、スペックを見ても宇宙世紀0123年に稼働した試作型モビルアーマーらしい、とても優秀な性能を有しています。
そして、何より驚きなのが『総解説 ガンダム辞典』(講談社)には、クロスボーン・バンガードがコロニーの制圧を開始したのが0123年の3月16日、“バグ計画”と呼ばれる侵攻が失敗に終わったのが同年3月30日と記載されていることです。つまりシーブックの初陣からラフレシア撃破に至るまで、たったの半月程度の出来事だったことになります。
これはシーブックがパイロットとして驚くべき速度で急成長を遂げたことを意味しています。その成長速度は、一年戦争の中でニュータイプとして覚醒していったアムロ・レイにも負けないレベルだったのでは……というのが私の個人的な見解です。
なおシーブックの物語は、長谷川裕一氏が作画を務めた漫画『機動戦士クロスボーン・ガンダム』(講談社)へと続いていきますが、そちらはまだ映像化されていないので今回は触れないでおきます。