■子を守る父親、バランの最期
最後に紹介するシーンは第56話「受け継がれる心」よりバランの最期のシーン。ハドラーのシーンから一続きで、バランとダイの奮闘むなしく「黒の結晶」はバーンやミストバーンのせいで爆発する。
大陸を吹き飛ばすほどの威力だったが、ダイは生存。そもそもダイはハドラーとの戦いのとき、子を想うバランにラリホーマをかけられ眠らされている。そして「黒の結晶」が爆発する瞬間、バランは生命エネルギーともいえる「竜闘気(ドラゴニックオーラ)」を全解放してダイを守ったのだった。
当然「竜闘気」をすべて失ったバランは、そのまま帰らぬ人となる。死の直前、ダイと話すシーンがあり、不器用な親子の会話がなんとも涙を誘う。恥ずかしさとこれまでの行動でバランを「父さん」と呼べないダイと、愛情をうまく伝えられずいい父親ができないバラン。悲しくも、そのわだかまりはバランが死ぬことで解消された。
バランの最期に、大声で「父さん」と叫ぶダイの姿はあまりにもつらく悲しい。しかし、バランの想いがダイの中へ流れ込む描写があり、親子として分かりあえたのだ。一度は死闘を繰り広げた親子が分かりあった様子は、作品屈指の名場面と言って差し支えないだろう。
他にも前述のアバンのメガンテや、ヒュンケルの父であるバルトスの死亡シーンなど悲しい展開の多い『ダイの大冒険』。また今回はまだアニメ化されていないシーンからは選ばなかったが、『ダイの大冒険』の神回は最終決戦にギュッと凝縮されていると言っても過言ではない。
悲しいやら嬉しいやらアニメは最終局面まであと少しとなった。それらの感動的な名場面がどのように描かれるのか、残りわずかな時間を楽しみたい。