■すべてを捨てたハドラーの覚悟と“男泣き”

 続いては、第55話「黒の核晶(コア)」でハドラーが見せた覚悟の大きさ。ダイ抹殺の任務に失敗続きだった魔軍司令のハドラーは、自身の体を超魔生物へと改造。不死身であることを捨てて、圧倒的な力を手に入れた。同時に自らの保身や甘えも捨て、武人として覚醒を果たしたハドラーは、バランとダイの最強タッグを1人で迎え撃つことになる。

 しかし、バランやダイは消極的な戦いしかしてこない。正々堂々と正面から戦いたいハドラーは、バランとダイの戦い方に疑問を感じる。それもそのはず、大魔王バーンによってハドラーの身体には「黒の結晶(コア)」と呼ばれる兵器が仕込まれており、バランとダイはそのことに気づいていたのだ。

 それを知ったハドラーは、バランたち敵前で号泣してしまう。肉体を捨て、命を捨てる覚悟でバランとダイとの戦いに賭けていたにもかかわらず、主であるバーンによってその思いを踏みにじられたのだ。

 権力にしがみつく小悪党だったハドラーが成長し、正々堂々と戦う姿は視聴者にとって、もはや単なる敵ではない。ハドラーの思いが分かるからこそ、このシーンは名場面たりうるのだと思う。「覚悟の強さ」という観点では、この頃のハドラーはダイたちに匹敵するのではないだろうか。

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