■『新宿スワン』からガラリと変わった画風
2つ目は、作中の随所に登場するおしゃれなデザイン。同作には主人公らの属する「東京卍會(とうきょうまんじかい)」「芭流覇羅(バルハラ)」「黒龍(ブラックドラゴン)」「天竺(てんじく)」など多くの暴走族が登場するが、そのアイコンともいえる特攻服はいずれも凝ったおしゃれなデザイン。オーソドックスな特攻服の「東京卍會」と対比して、「芭流覇羅」は首のない天使のデザインが描かれたおしゃれなブルゾン、「黒龍」は白のロング丈の軍服のようなデザインで、従来の暴走族のイメージとはかなり異なっている。
登場人物たちもヤンキー漫画にしてはどこかあか抜けたすっきりとした顔立ちをしており、髪型にまでこだわったイケメンキャラが多い。作者の和久井氏の前作品が、新宿のスカウトの世界を舞台にした『新宿スワン』であったことを知ると、その画風の違いに驚くファンも多いのではないだろうか。『新宿スワン』は劇画タッチの乾いた絵柄だったが、『東リベ』では屈強な力を持つキャラであっても線の細くかわいらしい外見をしており、むしろ女性読者をメインターゲットにしているようにすら思える。