昨年公開された映画『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』では、美しい映像と迫力のバトルシーンで描かれた、炎柱・煉獄杏寿郎の生きざまが多くの視聴者の胸を打った。現在放送中のテレビアニメ「無限列車編」でも、刻一刻と煉獄の最後の戦いが迫っている。楽しみなような見たくないような、そんなヤキモキした時間を過ごしている煉獄ファンも多いのではないだろうか。
煉獄杏寿郎といえば、圧倒的な強さを誇る上弦の参・猗窩座に「鬼になれ」と勧誘されるも人間の有限の命の美しさを誇り高く語り、またその言葉に恥じない生涯を送ったキャラクター。性格も明朗快活で、炭治郎らの兄貴分のような頼れる存在であった。結果的に彼が作中で初めて亡くなった柱となったことは読者に大きなインパクトを与えたが、また一方で彼亡き後もその想いが炭治郎の心に大きな影響を与え続けた理由も、原作コミックスを読んだり映画を見た人ならば誰でも納得できるだろう。
主人公の背中を押し、またピンチのときに一番に駆けつけてくれる“兄貴”キャラだが、頼りになる力強さの一方、煉獄と同じように物語中盤で命を落とし読者を悲しませてきたキャラは少なくない。
まずは『ONE PIECE』の主人公のルフィの兄であるポートガス・D・エースだ。幼い頃は義兄弟のルフィとサボとともにたくましく成長してきたエース。サボを失い、それぞれが17歳になって海賊として海に出た後も、たびたび二人の絆がかいま見える。そんな彼が命を落としたのはマリンフォード頂上戦争でのことだ。
この戦争では、死刑となったエースを救うため、白ひげ大艦隊と海軍・王下七武海の全面戦争が勃発。一行は多くの犠牲を払ってなんとかエースの救出を果たしたが、結局、エースは赤犬が放ったマグマの拳からルフィをかばうかたちで盾となり、その体を貫かれてしまう。
エースの最後のセリフである「愛してくれて………ありがとう!!!」はあまりにも有名。まさか『週刊少年ジャンプ』で、それも『ONE PIECE』という作品に限ってエースのような重要キャラが死ぬはずがないと思った読者も多かったようだが、彼のビブルカードは間違いなく燃え尽きてしまった。
なお、エースの遺体は白ひげのものとともに埋葬されたことが語られ、メラメラの実は義兄弟であるサボが引き継いでいる。
彼の死後、物語は2年の時が経過し「新世界編」へと突入。彼の死もまた、物語の大きな転換点となったのだった。