■「死にに行くわけじゃない。俺が本当に生きてるかどうか、確かめに行くんだ」
そして最後に紹介するのが、最終回である第26話「ザ・リアル・フォークブルース(後編)」で、過去の因縁にケリをつけに行こうとするまさにそのときスパイクが言うセリフだ。
記憶を取り戻し一度はビバップ号を去りつつも、やはり自分の居場所はここにしかないと悟って戻ってきたフェイは、それと入れ違うように生きて戻れる見込みが限りなく少ない戦いへと向かうスパイクになぜ行くのかと問う。それに対するスパイクの答えは、それ以上口を挟むことができない静かな決意に満ちたものだった。
位相差空間ゲートで太陽系中をひとっ飛びできるような世界にあっても、居場所を求めて生きる意味を見いだそうとする人間の本質はきっと変わりはしない。いわゆるハッピーエンドではないかもしれないが、その旅路の終着点を自らの意志によって選び取った物語の結末には、ある種の幸福感が確かにあったと言えるだろう。
ちなみに、テレビ東京放送版の最終回は総集編「よせあつめブルース」となっているが、そのサブタイトルの通り、通常の総集編とは異なり物語としてのつながりはほとんどないシーンを断片的にコラージュしたもので、バックグラウンドに各キャラクターの語りが流れるという構成だった。
しびれるような名セリフの宝庫でもあったのだが、この回はWOWOW放送版にはもちろんなく、再放送やその後の映像ソフトなどからもカットされているため幻のエピソードとなっている。いつか公式に見られる日が来ることを待ち望んでいるファンも多いはずだ。
今回はスパイクに絞ったが、ジェットやフェイにも(そしてエドにも)まだまだ紹介しきれない名セリフがたくさんあるので、未見の人はぜひ見て、そして聞いてみてほしい。
ドラマ版ではアニメと同じくスパイク役を山寺宏一が務める。実写でどのように再現されるのか、またはまったく新しい名セリフが生まれるのか、いずれにせよ目が離せないことは間違いない。