■「俺は運がいいわけでも、腕がいいわけでもないんだ。気っぷがいいのさ」

 第3話「ホンキィ・トゥンク・ウィメン」で、ジェットの夢のお告げに従い、連れだってカジノを訪れたスパイク。これが初登場回でもあるフェイがディーラーを務めるブラックジャックのテーブルに腰を落ち着け、山のようにチップを積み上げて最後の大勝負を前に言う。

「俺は運がいいわけでも、腕がいいわけでもないんだ」
「じゃ、何が?」
「気っぷがいいのさ」

 ニヒルで気だるい態度を取りつつも軽妙洒脱で、どんな緊迫した場面でも軽口を叩くことを忘れず乗り切っていくスパイクの性格がよく表れたやり取りだ。

 結局勝負には負けるのだが、意に介した様子もなく記念のチップを1枚だけもらってあっさりと立ち去っていくその様は、まさに「気っぷがいい」男の美意識がにじむ立ち居振る舞いと言えるだろう。テンポのいいアクションに彩られ舞台も華やかなエピソードだが、まだシリーズの序盤ということもあって、スパイクたち主要キャラクターの人となりを視聴者に印象づける演出が随所に見られる。それぞれに決して曲げることのない流儀を持って確かにそこに生きていることが、セリフを通して伝わってくるのだ。

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