1987年12月に稼働を開始したSNKのアーケードゲーム『ゲバラ』。翌年にファミコンにも移植され、今年2月に「アーケードアーカイブス」(PS4、Nintendo Switch)でも配信がスタートした名作シューティングだ。
主人公は、なんとチェ・ゲバラとフィデル・カストロ。このふたりを操作して1950年代のキューバに殴り込み、独裁者フルヘンシオ・バティスタ大統領を倒すという内容だった。もちろん、これらのキャラクターは実在の人物である。
銃を取ってキューバの自由と革命のために政府軍と戦う。字面にすればきわめて政治的だが、細かいことはともかく『ゲバラ』は爽快感と斬新なシステムに満ちた快作だった!
■『メタルスラッグ』につながる要素を盛り込んだ名作
1956年12月、『グランマ号』という名のヨットでキューバに上陸した82名の武装勢力は、政府軍の反撃で大損害をこうむってしまう。生き残ったのはわずか16名。その中にはゲバラとカストロ兄弟(フィデルとラウル)がいた。
この武装勢力はすぐに鎮圧されると見なされていたが、蓋を開けてみれば現地の民衆がゲバラたちを支援した。革命軍は徐々に膨れ上がり、2年後には政府軍を圧倒するようになる。
今現在のキューバは、革命軍が勝利を収めた末に成立した政府である。バティスタは国外へ逃亡し、反共独裁政権を敷いていたポルトガルのアントニオ・サラザール、そしてスペインのフランシスコ・フランコを頼って天寿を全うした。
『ゲバラ』はそんなキューバ革命を題材にした内容だが、SNKがのちに発表する人気作『メタルスラッグ』にもつながるシステムを導入していたのがポイントだろう。
ゲーム画面は上空からの見下ろし視点(いわゆるトップビュー)。初期武装は機関銃とも言い切れない非力な銃と、弾数に限りのある手榴弾だ。しかし敵を倒していけば、より強力な武装が手に入る。ステージが進むと戦車が登場し、それに乗って無双することもできる。
さらに、ステージ途中で出会う「拘束された人」。彼らは政府軍に捕らえられた捕虜である。近づくと縄を解いて捕虜を解放することができる。が、これが結構難しい。このゲームの銃弾は、なんと捕虜にも当たってしまうのだ。敵兵を蹴散らすために乱射していると捕虜を殺してしまうし、だからといって撃たないと敵がわらわら寄ってくる。
もっとも、捕虜を助けたからといってゲーム進行に大きな違いは出ないから、何もせず見殺してしまっても問題ない。君たちは革命の礎となるのだ!