■両腕に生首をつけたホラーすぎるデザイン
●クビゲルゲ
第28話「魔人クビゲルゲが窓からのぞく!!」に登場するドルゲ魔人。人間の切り首がモチーフで、切断面からは血が流れており、両手には生首がついているという猟奇的デザイン。不気味すぎて、当時の子どもたちがテレビを見て泣き出す様子が容易に想像できる。
攻撃の手口はネックレスで人間を操るというおとなしいもので、さすがに首を切断するなどといった狂気性はないものの、今の時代どころか当時でも完全にデザイン自体がアウトだったようにも思える。第24話に登場したウデゲルゲが冒頭で人間の頭を砕いていただけに、切断もやりかねなかったが、そこは踏みとどまったようだ。
『仮面ライダー』でも人間が溶けたり、白骨化する描写は日常茶飯事。2000年の『仮面ライダークウガ』から始まった平成ライダーシリーズでも、しばらくは敵怪人による殺人描写があったように、子ども向けの特撮ヒーロー番組においての残酷描写は長年議論の的になってきた。『超人バロム・1』に関しては、それに加えてデザインの気持ち悪さが後押しし、よりトラウマ性を強調していた。
ここまでドルゲ魔人を紹介してきたが、東映を代表する特撮ヒーロー番組として、王道的な作品であることは間違いない。
バロム・1に変身する白鳥健太郎役の高野浩幸と木戸猛役の飯塚仁樹が、当時の子役としては演技が抜群にうまかったのも本作の特徴。子役ならではの棒読み感をあまり感じさせず、大人が主人公の他作品に比べて演技面が少しも劣っていなかったのも人気を支えた理由のひとつだろう。
『ゴルゴ13』や『鬼平犯科帳』も代表的作品だが、『超人バロム・1』も、さいとう・たかをが生み出した名作として、いつまでも魅力が色あせないのは言うまでもない。