■子どもたちに衝撃を与えた「ドルゲ魔神」たち
●クチビルゲ
第21話「魔人クチビルゲがバロム・1を食う!」に登場するドルゲ魔人。大きな口に髪の毛が生えているというインパクト大なデザインのクチビルゲは、タイトルの通り、人間を丸飲みにしてしまう。
エピソードによっては、襲われた人間が元に戻る描写もあるが、クチビルゲが食べてしまった人間が戻ってくる描写はなく、そのまま食べられてしまったことが分かる。『仮面ライダー(スカライダー)』のクチユウレイや、『恐竜戦隊ジュウレンジャー』のドーラキルケなどのデザインにも影響を与えているようにも感じられる。
●ヒャクメルゲ
第22話「魔人ヒャクメルゲが目をくりぬく」に登場するドルゲ魔人。まずタイトルが恐ろしいが、タイトルの通り「目をくりぬく」描写も恐ろしい。車の運転手の目玉をくりぬき、事故を起こさせる手口は回りくどいが、目玉をくりぬいた後の視神経がとび出た人間たちの姿はホラー映画さながら。子ども番組に、この描写はすごい!
目玉をくりぬかれた人間たちは、そのまま生きていかなければならないと考えると、ものすごく後味の悪いエピソードだ。
頭部は血管が集中した巨大な眼の形になっており、全身にも無数の目玉がついている非常にグロテスクなデザイン。実写版『悪魔くん』に登場した百目ことガンマーや『仮面ライダーBLACK RX』の百眼婆ァなどに負けない気持ちの悪い敵だ。
●ノウゲルゲ
第23話「魔人ノウゲルゲが脳波を吸う!」に登場するドルゲ魔人。デザインは「脳」がテーマとなっており、腰のあたりに小さな頭があり、そこから上がすべてむき出しの脳みそになっている。1955年のSF映画『宇宙水爆戦』のメタルナミュータントのように大きな頭部自体が脳みそになっていたり、『人造人間キカイダー』のハカイダーのように、透明なヘルメットや容器の中に脳みそが見えているというものは、今もよく目にするデザイン。だがノウゲルゲほど、ダイレクトに脳みそを擬人化したデザインは、かなり異質で不気味だ。
自分の脳を乾燥させないために人間の脳波を吸い取るノウゲルゲ。デザインだけでなく行動からして恐ろしすぎる。
●ホネゲルゲ
第25話「魔人ホネゲルゲの白骨が風にうめく!」に登場するドルゲ魔人。大トカゲの骨から作られたというドルゲ魔神で、デザインは一見シンプル。『人造人間キカイダー』の白骨ムササビに少し似ているが、よく見ると後頭部から脳みそが飛び出していて、なんとも気持ち悪い。
実はコメディ要素の強いドルゲ魔人でもあるホネゲルゲ。骨だけで肉や皮がないため寒さに弱いという弱点があり、常にマントをはおっているが、マントをとられると一気に弱体化するというかわいそうな設定がある。
手口としては第3話に登場したイカゲルゲと同じく、襲った人間を白骨化させてしまう。このエピソードでは兄妹の母親が白骨化してしまうショッキングな展開があるが、ホネゲルゲは自分を倒して灰をまくことで白骨化した人間が元に戻ると説明。その後にバロム・1に倒されて無事に母親は生還した。