■ひとり現実的だった煉獄の夢

 そして炎柱・煉獄杏寿郎の夢。かまぼこトリオの三人は、それぞれのキャラクターが反映された幸せな夢を見ていたが、煉獄の見た夢はというと、晴れて柱となった煉獄が父に報告をするも冷たくあしらわれ、弟の千寿郎を抱きしめ激励するというものだった。一見すると幸せな夢ではなく自身が実際に経験した過去の回想のようで、このときの煉獄の寝顔が、眉間にシワを寄せた表情であることも気になる。

 このシーンについては視聴者の間でさまざまな考察が飛び交っている。柱という圧倒的な強さを持つゆえに現実的ではない夢を拒んだのか、もしくは戦の最中ではなく弟と稽古をつけ鍛錬しあう時間こそが彼の幸せだったのか。煉獄の深層心理には、煉獄杏寿郎という男が快活で人当たりが良いだけではない、思慮深い人間だったということがにじみ出ている。

 あえて幸せな夢を見せるという血鬼術には魘夢のいやらしさがよく現れているが、確信を持って言えるのは、彼らがまやかしの夢に負けない立派な剣士だということだ。

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