■2本のレバーで繰り出す必殺技
現代の格ゲーから見ると、操作も特殊な仕組みである。ディスクシステム版では十字キーとボタンの組み合わせで操作する仕様が採用されていたが、オリジナルで使うのは2本のレバーのみ。この動きを組み合わせてさまざまな技を繰り出していく。
たとえば相手と一定以上の距離がある状態で「→+↑」を入力すれば、上段追い突きが出る。これはそのまま一本を狙えるほどの強力な技。「→+→」に入れると中段追い突きで、一本は狙えないが使い勝手がいい。
映画のような華麗な飛び蹴りで相手を倒したいなら、「↑+→」で飛び横蹴りを発動させる。これは決まったら本当に気持ちいい! しかし距離によって当たり判定がいきなり渋くなるので(現実の格闘技でも距離に応じて戦い方が変わってくる)、相手との間合いの取り方が非常に重要となってくる。空手を極めるということは、距離感覚を極めるということである。このあたりも『空手道』は見事に再現しているのだ。
『空手道』がこの世に登場したのは1984年6月。まだ生まれておらず、小学生のときに『ストリートファイターII』にハマり、その後の格ゲーブームを過ごしてきた筆者にとって、今作の現代の対戦格闘ゲームとはだいぶ異なるルールにとまどってしまった。Nintendo Switchの『アケアカ』で今回初めてプレイをしたが、最初のうちは青雲試練編すらもクリアできなかった。
しかし、回数を重ねると徐々にコツが分かってくる。
今回編み出したのは、前方宙返りからの後ろ蹴りだ。組み手が始まったら相手に対して数歩近づき、「↑+↓」で前方宙返り。こうすることで相手の背後に回ることができる。そこへ右レバーを「←」に入れ、後ろ蹴り。
なんだか空手というよりもメキシコのルチャ・リブレみたいな戦法だ。相手を飛び越えた直後にソバットである。戦い方としては正道からはみ出している気もしないでもないが、ここではまず勝つことが優先。実際にこの戦法は成功率が高く、一本は狙えないが技ありをコツコツと積み重ねることができる。