1984年6月、データイーストがゲーム史を変える名作を送り出した。2D対戦格闘をテーマにしたアーケードゲーム『空手道』(開発:テクノスジャパン)である。
現代では一大ジャンルとなった対戦格闘ゲームだが、80年代前半当時はその概念すらなかった。しかし『空手道』の登場により、同一条件下での1VS1の戦いが非常に奥深いという事実が共有されたのだ。
『カラテチャンプ』というタイトルでディスクシステム用ソフトとしても移植されている本作。現在、PS4とNintendo Switchの『アーケードアーカイブス』でもプレイできる往年の名作『空手道』の魅力を振り返りたい。
■フルコン空手をアーケードゲームで再現!
『空手道』が稼働されていた当時は、70年代に大ヒットした劇画『空手バカ一代』の余波がまだ続いていた。
寸止めや防具といったものを使用せず、突きや蹴りを本当に相手にぶつける「フルコンタクト空手」を確立させた大山倍達は、当時の青少年にとってのヒーローだった。彼の運営する極真会館には「第2のマス大山」を目指す若者が次々に入門し、実際に名選手が西池袋の本部から輩出された。
『空手道』は、当時隆盛を極めていたフルコン空手を見事に再現した内容である。
コインを投入してスタートボタンを押すと、まずは「青雲試練編」から始まる。主人公が昆布締めの道着を持って道場へ歩み寄る。ここで師範に見守られながら、まずは技の演武。当時としては珍しいチュートリアルが『空手道』には実装されていた。
その後、赤い道着の対戦相手と組み手を行う。この組み手は現代の対戦格闘ゲームとはまた違うルールで、キャラクターに体力は設定されていない。代わりに「一本」と「技あり」の概念があり、技がヒットしたら基本的に「技あり」、高得点のクリーンヒットなら「一本」という判定が下される。組み手は2本先取だ。