■追加要素がもたらした新たな緊張感

 本作の恐怖を際立たせる要素の1つに、ライターと灯油がある。これはリメイク版に追加された新アイテムで、倒したゾンビの死体を焼くために必要となる。オリジナル版のゾンビは倒すとそのまま消えるのだが、リメイク版では死体が残る。そのまま放置しておくと、一定時間後に“クリムゾンヘッド”という化け物になって復活するのだ。

 このクリムゾンヘッドは通常のゾンビよりも耐久力と攻撃力が上。移動速度も速いので、もたついているとすぐに追いつめられてしまう。初代『バイオハザード』は閉所が多いのでゾンビとすれ違うことが多く、硬くて速いクリムゾンヘッドは探索の大きな脅威となった。

クリムゾンヘッドの追加がゲームに新たな緊張感をもたらした(画面はPS4のリメイク版『バイオハザード HDリマスター』より)

 そしてクリムゾンヘッド化を防ぐには、ゾンビの頭を吹き飛ばすか、死体を燃やさなくてはならない。頭を吹っ飛ばすならショットガンを使うのが現実的だが、失敗する確率もある。そのミスを補うために死体を燃やすためのライターと灯油が必要になるのだ。

 またライターは無限に使えるが、灯油には限りがあり、倒したゾンビを片っ端から燃やしていくわけにはいかない。『バイオハザード』は限られた弾薬をやりくりしながら、倒すべき敵の選別も要求される。そこにクリムゾンヘッドという新要素が加わったことで、リメイク版『バイオハザード』の難易度は初代よりも高くなった。

 ゾンビに遭遇するたびに弾薬と灯油の残量が頭をちらつくので、プレイヤーは戦うか逃げるかの選択を迫られる。しかも灯油やライターはアイテムスロットを圧迫するため、あまり多く持ち歩くと探索中に見つけたアイテムが拾えなくなる(ライターをアイテムとして持ち運ぶのはジル編のみ)というジレンマに陥る。

 そのうえ灯油が入ったポリタンクはマップ内に点在しており、中身が尽きたら別のタンクを探さなくてはならない。灯油が空の状態でゾンビを倒した場合、死体がいつクリムゾンヘッドになるかと怯えながら探索をするハメになる。アイテム管理にゾンビの倒し方、さまざまな制約が重圧となってプレイヤーにのしかかってくるのだ。

 こうした制約はプレイヤーのストレスにつながりかねないが、そのあたりのバランス調整が絶妙。むしろ制約の存在がプレイ中の恐怖心をあおり、ゲームとしての面白さを演出していた。

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