■はっきりした陰影が浮かび上がらせる恐怖の空気
対応機種がプレイステーションからゲームキューブになったことで、描写性能はもちろん、画面内に表示できるポリゴン数も格段に向上。これにより、舞台となる洋館の質感や陰影が、よりリアルに表現されている。ゲームハードの性能が上がれば画質も上がる。それは当然の話ではあるが、恐怖感を演出するのが重要なホラーゲームともなると、その意味はとても重い。
プレイステーションのオリジナル版とリメイク版、2つの画像を比較してみると光源や陰影の表現がまるで違うことに気づく。全体的に明るめのオリジナル版に対し、リメイク版では暗闇や影がかなりリアルに描かれている。敵の質感も段違いで、リメイクのほうは腐った皮膚やむき出しの筋肉、プレイヤーを食いちぎろうと開かれる口のカタチまで確認できる。
昔の作品は粗い画質がかえってゲームらしく認識させ、プレイヤーの恐怖感をいくらか和らげていたが、リメイク版ではそれも通用しない。小さなランプに照らされた薄暗い廊下を、腐った体を引きずりながら徘徊するゾンビ。柵の外側でプレイヤーを狙って威嚇するゾンビ犬といった光景をリアルなグラフィックで表現されると、まるで現実のように感じてしまう。それが本当に怖い。
暗がりの中を進むだけで恐ろしいのだが、外から差し込む月明かりや稲光で浮かび上がる自分の影をゾンビと勘違いしたり、姿の見えないゾンビのうめき声を聞いただけで狼狽したりと、筆者の初プレイは散々だった。
大層な怖がりだったこともあり、実は私にとっての『バイオハザード』デビューは、アクション性を重視した『バイオハザード4』だ。それもあって、このシリーズのルーツであるリメイク版を初めてプレイしたときは、ホラーを重視した作品に対する恐怖感に圧倒され、一時ゲーム自体が進められなかったほどである。