■悲しい運命に縛られた兄弟の絆
最後に紹介するのは2012年に発売されたPS3用タイトル『テイルズ オブ エクシリア2』だ。プレイヤーの選択でストーリーが分岐していくというシリーズでも珍しい構成が特徴の作品。主題歌は浜崎あゆみの楽曲で、よりドラマチックに物語が演出された。
本作は主人公・ルドガーの一族の悲しい運命を主軸においたストーリーが展開する。同じ運命を背負う兄・ユリウスとの兄弟の絆は涙なしでは語れない。
ルドガーが働くことになるグランスピア社は大企業で、裏の仕事として並行世界(分史世界)を破壊していた。分史世界の破壊は、骸殻能力という特殊な力を持つ者しかできず、ルドガーも骸殻能力者だ。また、分史世界の破壊は、「時空の因子(タイムファクター)」を破壊することで完了する。そして「時空の因子」は骸殻能力者のなれの果てであり、分史世界を破壊するために骸殻能力を使用すると、いずれ「時空の因子」となってしまうのである。
ルドガーの兄・ユリウスも骸殻能力者で、自身が近いうちに「時空の因子」になってしまうことを予見していた。最終決戦直前にユリウスは、ルドガーの目的と覚悟を見定めるため一騎打ち。そしてユリウスは力を使い果たして時空の因子となってしまった。
新たに発生した分史世界を破壊するため、ルドガーは分史世界に侵入する。それまでの兄弟としての思い出がよみがえるが、「時空の因子」となったユリウスを悲しい表情を浮かべながら武器で刺し貫くルドガー。
「お前は、お前の世界をつくるんだ」
そう残したユリウスの表情はとても満足げで、苦悶の表情で絶叫するルドガーとは対照的だった。物語を通して兄弟の強い絆を感じられるので、ユリウスを手にかけるときは見ていてつらかった人も多いだろう。ただし、ユリウスの表情は弟の成長を喜ぶかのようで、悲しいながらもホッとするような不思議な感覚になるシーンでもあった。
最新作『テイルズ オブ アライズ』でも心が震えるシーンが控えているはず。5年の沈黙を破る『アライズ』に期待が集まる。