■基本的にマリコと真逆、だから演じやすかった

――あらためて、夏菜さんが演じるマリコはどんな女性でしょうか?

夏菜 オトコを落とす恋の達人みたいなマリコですが、じつは恋愛経験はまだなくて、オトコを好きになったこともない。“落とし屋”というのは彼女にとって恋の実験、オトコの研究なんです。だからと言って冷たい人間ではなく、すごく優しい部分も持っています。言ってみれば自分の感情をコントロールできる人なんですよね。

 マリコの恋愛テクニックのすごさはそういうところから来ていて、とにかく感情に流されない。的確なアドバイスをくれると思うので、実在したら友だちにほしいタイプですね(笑)。

――役を通して、マリコに自分との共通点を感じる部分はありましたか?

夏菜 まったくないです(笑)。基本的にすべてが逆ですね。私は好きになったら一直線なので、どちらかというと、1、2話では依頼者だったユミちゃん(古畑星夏)タイプです。マリコの恋愛テクニックって、すべて計算なんですよ。オトコに合わせて姿を変えるのも、ギャップで誘うのも全部が計算尽く。私はそういうのはお手上げです。

――あまりにも真逆だと気持ちが入りにくくありませんか?

夏菜 マリコに関して言えば、なぜかとても演じやすくて。他だと冷静な説明ゼリフってテンパってしまいがちなんですが、マリコになった瞬間、なぜかスラスラ言えるんですよ。似ていないはずなのに、マリコの感情を分かってあげられる自分がいて。似てなさすぎて、隣でマリコを見ているような感覚? だから私も冷静に感情をコントロールできるのかもしれないですね。

――現場で、監督からはどういう指示がありましたか?

夏菜 マリコはロボット的というか、あまり人間に見えない部分があるキャラクターです。それをどう見せるかについて、最初、監督からはコメディっぽくならないようにという話がありました。最終的にはコメディを取り入れましたけど、人間としてのリアル感というのは私も考えたところです。

 生きていればいろいろな過去があって、そこに人間像みたいなものができていきますよね。今のマリコがあるのはそういうことだから、その過去を積み上げて、お芝居に反映させていく作業が難しかったです。

 あとは、声。それこそロボット的にすればいいのか、どういうしゃべりにすればいいのか。ここが一番悩んだかもしれないです。でも、アニメにはまだなっていないのはラッキーでしたね。アニメになっているとどうしても声優さんの色を気にしてしまうので、それがなかったから、私が一番最初に声を決められるというのはラッキーだなって思いました。

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