■ジオンのエースが魅せた決死の無双
続いて紹介するのは、90年代後半にリリースされたOVA作品の『機動戦士ガンダム 第08MS小隊』に登場する戦闘シーンから。
ジオンの秘密基地を発見した地球連邦軍が猛攻を開始。そんな中、基地からは多くの負傷兵を載せたザンジバル級機動巡洋艦ケルゲレンが離脱しようとしていた。ケルゲレンを無事に脱出させたいというアイナ・サハリンの願いをかなえるため、死を覚悟して単騎出撃したのがジオン屈指のエース、ノリス・パッカードだ。
ケルゲレンの脱出ルートで待ち構える08小隊の前に、突如ノリスのグフ・カスタムが現れる。地下エレベーターから高速で飛び出したノリスの機体が、ビルの残骸の上からさっそうと見下ろすシーンは鳥肌が立つほどカッコよかった。
さらに「指揮車1、人型3、タンクもどき3」と即座に敵戦力を分析したノリスはグフ・カスタムのヒートワイヤーや煙幕を巧みに用いて、数に勝る08小隊を翻弄していく。2機の陸戦型ガンダムだけでなく、主人公・シロー・アマダの乗るガンダムEz8を相手にするノリスには鬼気迫るものがあり、そのド迫力の戦闘シーンはまさに“無双”と呼ぶのにふさわしい内容だった。
このノリス・パッカードのグフ・カスタムと08小隊による圧巻の戦闘映像は、OVAの第10話「震える山(前編)」に収録。グフに乗るエースパイロットと言えば『機動戦士ガンダム』のランバ・ラルを思い出すが、同じグフの系統に乗っていたノリス・パッカードの生き様も涙なしには見られない。