■ニュータイプの片鱗!? 疑惑のメカニック
映画『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』に登場するロンド・ベルの技術士官兼メカニックで、アムロ・レイの恋人だったチェーン・アギにも不思議な力を感じる場面があった。
なお劇中には、チェーンがボロボロのリ・ガズィに乗って飛び出す場面があるが、彼女の本職はメカニック。最低限の操縦技術はあったようだが、もちろん正規のパイロットではない。
その『逆襲のシャア』での戦闘中、チェーンは旗艦ラー・カイラムの機銃を掃射し、ネオ・ジオンのレズン・シュナイダーが操縦する青いギラ・ドーガを撃墜する。レズンはモビルスーツ部隊を率いるエースパイロットであり、一介のメカニックが操る機銃の直撃を食らうような、なまはんかな腕ではなかった。
このときチェーンは「サイコフレーム」のサンプル品を身につけていたため、サイコフレームの不思議な力が働いてレズン機を撃墜できたと思われている。実際、機銃を撃っているチェーンの腰にあるT字型のサイコフレームが青く輝く様子が描写されているので、その影響があったのは間違いない。
しかし、サイコフレームとは、ニュータイプが発する感応波をマシンに伝える“サイコミュ”の機能を持った、極小のコンピューターチップを封じこめたもの。一般人がサイコフレームを所持しただけでニュータイプのような特別な力が発揮できるのなら、わざわざ強化人間のような疑似ニュータイプを作り出す必要はないはずだ。
あくまで個人的な見解になるが、そのことを踏まえてあのチェーンの撃墜シーンを見返すと、彼女には多少なりともニュータイプの素養があり、それをサイコフレームが増幅したことによって通常以上のパフォーマンスが発揮できたと考えたほうが自然ではないだろうか。
なお今回紹介しなかった、パイロット以外のニュータイプと思われる人物としては、ミネバや『機動戦士Vガンダム』に登場した“サイキッカー”シャクティとマリア親子あたりが候補に挙がる。それと現在公開中の『閃光のハサウェイ』に登場するギギ・アンダルシアは、ネタバレ回避のために除外させていただいた。
こうして名前を並べてみると、たくさんある宇宙世紀の映像作品においてパイロット以外のニュータイプというのは、かなり珍しい存在であることが分かる。ただ派生作品にはほかにもニュータイプらしきキャラが描かれているので、アニメで描写されていないだけの潜在的なニュータイプは作中に隠れているのかもしれない。