■自らの進退を賭けエリート上司と対決

 若くして剣持警部の直属の上司となったエリート中のエリート、明智健悟警視。彼が初登場した「雪夜叉伝説殺人事件」では、剣持警部が高校生の金田一に捜査協力を申し出たことに明智警視は反発。金田一を高く評価する剣持警部や、彼が絶賛する金田一の推理能力を見下した態度をとる。

 そして次なる殺人事件が起こる中、明智警視は部下の剣持警部に「あなたのやり方と私のやり方のどちらが有効なのか、賭けてみようじゃありませんか」と推理対決を提案。さらに明智警視は「もし私が負けたならこれを自由にして結構だ」と自分の警察手帳を差し出し、暗に進退を賭けることを宣言した。

 この自信に満ちあふれた上司の態度に驚きながらも、剣持警部は「いいでしょう!! その『賭け』のろうじゃありませんか!!」と自分の警察手帳を出し、明智警視の申し出を受諾。こうして「明智警視VS剣持&金田一」の推理対決が始まる。

 この「雪夜叉伝説殺人事件」では天才・明智警視が最後のツメを誤り、金田一が真犯人にたどり着く。そして極寒の地ならではのトリックも金田一が暴き、推理対決は剣持警部サイドの勝利となった。

 このエピソードの最後、警察署内で明智警視が剣持警部と金田一の横をすれちがうとき、明智警視が二人に会釈する場面が描かれている。明智警視の態度の変化に驚く金田一に、剣持警部は「警官生活ン十年……今ほど優越感にひたれたコトはない!」「お前のおかげだ金田一」と感動。明智警視も、金田一の卓越した推理力だけでなく、思い切った勝負を受けた剣持警部のことを認めたように思える1シーンだった。

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