■「あと三日で引退だ、悔いは残したくない」
夏のインターハイ予選が始まり、その決勝リーグの初戦で湘北は、王者・海南大附属に惜しくも敗北。残りを全勝しなければインターハイへの出場はかなわないという崖っぷちの状況に立たされる。
自身の課題が見えてきた花道は、通常練習のあとも夜遅くまで特訓を続けていた。そんな彼を手伝うために戻ってきた木暮は、花道が良いプレーを見せると全力で励ます。
そんな献身的な先輩に、花道が「メガネ君はいい奴だな…」と伝えると、木暮は「もしIH(インターハイ)に行けなかったら…あさっての陵南戦が最後だ」「あと三日で引退だ、悔いは残したくない」と答え、その言葉を花道は神妙な表情で受けとめていた。
そして運命の陵南戦では、途中出場した木暮が起死回生の3ポイントシュートを決め、勝利に大きく貢献。陵南の名将・田岡監督に「あいつも3年間がんばってきた男なんだ。侮ってはいけなかった」と言わしめたビッグプレーは、多くの読者を感動させたことだろう。
その試合終了後、花道は「メガネ君、引退がのびたな」と木暮に声をかける。これに木暮は「泣かすなよ…問題児のクセに…」と涙を流した。このやりとりから、花道は「悔いは残したくない」と語った木暮の言葉を胸に秘めて、この大一番に臨んでいたことが伝わってくる。
また、木暮の3ポイントシュートが生まれたラストパスを出したのは花道だった。このときマークの厳しいエース流川にパスを出すという選択肢もあったが、花道は迷うことなくフリーの木暮にパスを出した。その裏側に、陰でずっと努力を続けた先輩・木暮に対する花道の信頼、リスペクトを感じたのは私だけだろうか。