井上雄彦氏の『ＳＬＡＭ ＤＵＮＫ（スラムダンク）』は、１９９０年代の『週刊少年ジャンプ』（集英社）を代表するバスケットボール漫画の金字塔。先月６月１７日で連載終了から２５年の節目を迎えた。同作はバスケ好きはもちろんのこと、スポーツ漫画にそこまで興味がない層すら夢中にさせた、言わずと知れた名作である。
そのストーリーは、赤髪の不良少年だった主人公・桜木花道がバスケを通じて成長を遂げていくという内容。花道の個性的なキャラクターだけでなく、その脇を固める登場人物にも魅力的なキャラクターが数多く存在する。
花道が所属する湘北バスケ部にはバスケの才能に優れた素晴らしい選手たちが多いのだが、個人的に強く印象に残っているのは比較的地味な副キャプテン、木暮公延の存在だった。
そこで本記事では、とくに心に刺さった木暮の名ゼリフの場面を振り返りながら、彼の魅力について紹介したい。
■「そうなりゃ湘北は強くなるぞ赤木」
木暮とキャプテンの赤木剛憲は、中学時代から一緒にバスケをやってきた親友。最初は体力作りのためにバスケを始めた木暮だったが、赤木のバスケに対する情熱に感化されたのか、中学卒業の頃には「バスケットが好きなんだ…」と語り、高校での全国制覇を赤木と誓っていた。
それから月日が過ぎ、中学時代からバスケのスタープレイヤーとして名をはせた流川楓、粗削りながらも才能を感じる桜木花道らが、木暮のいる湘北バスケ部に入部。これにより３年の木暮は、１年生の後輩にポジションをおびやかされる立場となる。
高校最後の年に、入ったばかりの１年にスタメンの座を奪われかねない状況。本来ならくさってもおかしくなかったが、木暮はそんなことをみじんも感じさせなかった。
花道の練習を見守りながら、木暮は「あんなに上達の早いやつは初めて見たぜ」と称賛。さらに「今年は流川も入ってオレのフォワードのポジションはいずれあいつら二人にとられるかもな」「だが、そうなりゃ湘北は強くなるぞ赤木」「こりゃあ…楽しみだな…!!」とうれしそうに語ったのである。
自分のポジションが奪われることより、チームが強くなることを前向きに捉えるこの木暮の発言。一見なにげないセリフだが、スポーツに打ちこんだ経験のある人なら木暮の言葉のすごさが分かるのではないだろうか。
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