■電撃戦で敵を蹂躙!

 以上はどちらかといえば防御的な戦術だが、それとは逆に電撃戦に打って出ることももちろん可能だ。

「装甲輸送車」や「輸送ヘリ」を用意して、そこに歩兵を乗せる。敵よりも早く中立都市を占領して、そこから得られる収益を手中に収めてしまう。カネがあれば、より強力なユニットを生産できるからだ。潤沢な資金を手にいれたら、あとは「戦車A」や「自走砲A」や「爆撃機」といった高火力ユニットを用意して敵を一気に蹂躙するという戦法だ。

「爆撃機」

 とにかく『ファミコンウォーズ』では“どの戦法を採用するか”ということにプレイヤーの性格が出る。実際の戦争でもヴァルター・モーデルや白善燁のように防御的な戦法を得意とする将軍もいれば、ジョージ・パットンやハインツ・グデーリアンのように攻撃戦に転じたら無類の強さを発揮する将軍もいる。

勝利画面。乱数要素はなく、いかに戦術を立てるかが明暗を分ける

 また、マップによっては海軍ユニットがないと攻略できない場合も。「揚陸艦」に地上部隊を乗せ、敵の支配する島に殴り込みをかける。だが、そこに敵の戦艦がやって来てこちらの揚陸艦が次々に沈められる……というおそろしい事態も発生したりする。

 そういう意味でも『ファミコンウォーズ』は現実性に満ちていた。

■補給がなければただの箱

 このゲームのリアルな部分をもうひとつ挙げるとするなら、「補給の概念がある」ということだ。

「補給車」

 どのユニットも、ガソリンと弾薬に制限がある。あまり移動が立て続いたり、戦闘を繰り返していたりするといずれ動けなくなってしまう。それをふせぐためには基地、都市、工場などの施設に立ち寄るか、「補給車」を走らせて該当ユニットに隣接させるしかない。どんなに強い戦車も、ガソリンと弾薬がなければただの箱。一方的にやられてしまう。補給は行軍の基礎なのだ。

 当時のCMでも「こいつはどえらいシミュレーション!」と歌っていたが、その言葉に嘘はまったくない。『ファミコンウォーズ』は当時の子どもたちにとって、実はどえらい戦場だったのだ。

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『ファミコンウォーズ』プレイ画面