■緊迫感台なし『宇宙戦艦ティラミス』

『宇宙戦艦ティラミス』DVD上巻

 次に紹介するのは、2018年に放送された『宇宙戦艦ティラミス』。人が宇宙にも生活圏を広げ始めた宇宙暦0156年を舞台に、二分された勢力による宇宙大戦へおもむく主人公で天才エースパイロットのスバル・イチノセの勇姿……、ではなく残念な日常を描いたSFギャグアニメだ。

 天才、エースと言われるだけあって、パイロットとしての実力は買われているスバル。しかし年上ばかりのパイロット仲間になじめずにいた彼は、専用機である“デュランダル”のコックピットを聖域と呼び、こもってばかりいる。 

 引きこもっているだけなら、まだ天才エースパイロットたる威厳は残っていただろう。しかしスバルの場合は、その威厳、カッコよさを、みずからの手で手放していく。

 PVでも見られる串カツの衣をコックピット内にぶちまける、みたいな行動は序の口。彼のコックピットの異常な私物化には、見る人にとってどこか身近なアホさ、ダサさがつまっている。

『宇宙戦艦ティラミス』は、「孤独な戦士スバルのコックピットゆるゆるライフを描いた一応SFアニメ」と言ったほうが、しっくりくるアニメだろう。

 また1話あたり約7分で見られるのも、忙しい現代人に優しい仕様だ。通勤、通学前に「くだらなくて笑える」ルーティーンを作ってみてはいかがだろうか。ただ1つ、エンディングテーマが頭にこびりつくため、職場や学校で口ずさまないように注意してほしい。

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