■陰湿すぎるいじめ描写にハラハラ
シリーズが進むにつれてコメディ色が強くなってきた同作。無印初期には外見の怖い妖魔が多く登場したが、のちのシリーズでは「あやかしの四姉妹」や「アマゾン・トリオ」などをはじめとする敵幹部が、その凝ったビジュアルで人気になるほどだった。
しかし見た目のかわいらしさに反して、メンバー間の仲が悪いのが同シリーズの敵たちで、『S』第22話「聖杯の神秘な力!ムーン二段変身」では敵幹部「ウィッチーズ5」の過激な仲間同士のいじめ行為が描かれた。
ユージアル、ミメット、テルル、ビリユイ、シプリン&プチロルの6人で構成される「ウィッチーズ5」。ふだんは無限学園の生徒として人間社会に紛れ込んでいる彼女たちだが、全員が最高幹部のポジションを狙っており、このエピソードではチームの一番手であるユージアルがミメットに殺されてしまうのだった。
最年長で、メンバーを仕切っていたユージアル。自ら発明した火炎放射器・ファイヤーバスターで何度もセーラー戦士たちを追い詰めるが、最終的にセーラームーンが新アイテムとなる聖杯を手にしたため失敗。その後ユージアルは停めてあったワゴン車で逃走するが、ここでワナを仕掛けていたのがミメットだった。
それまでにもユージアルのスリッパに画びょうを仕込んだり実験動物のカタツムリをばらまいたりと陰湿ないじめを繰り返していたミメット。このエピソードではユージアルが乗り込む車のブレーキを壊しており、そのうえ車内に大量のカタツムリをばらまき、「ワゴン車のカタツムリ女は事故って死ね!!」というメモ書きまで。そうとは知らずに車に乗り込んだユージアルは、急カーブでブレーキを踏むも、減速できずに崖から転落。翌日以降のシーンでは、ユージアルの机には花が生けられ、ロッカーには遺影と花がかけられているという悲惨な最後だった。あまりに陰湿なやり口にドン引きしてしまった女児視聴者も少なくなかったのではないだろうか。
子ども向けアニメといえど、トラウマレベルは超ド級の『セーラームーン』。作品の持つ魅力はかわいらしさだけではなく、こういった影の部分にもあるのかもしれない。