■少女向けアニメで描かれたまさかの「死」

 続いて紹介する無印第45話「セーラー戦士死す!悲壮なる最終戦」は、サブタイトル通り次々とセーラー戦士たちが死んでしまうというトラウマエピソード。第44話でうさぎたちの前世が明かされ、最終決戦の地・北極圏Dポイントに降り立ったセーラー戦士たち。そこで彼女たちの前に立ちはだかったのが、5人組の敵・DDガールズだった。

 幻影で翻弄してくる敵に対し、まずセーラー戦士で一番の攻撃力を誇るジュピターが2人を道連れに戦死してしまう。氷の柱の中で瀕死になりながらも、ジュピターは最後まで「泣いてる暇はないよ、プリンセス……さぁ元気を出して……」とセーラームーンを鼓舞して優しい笑顔のまま散っていった。

 それまでコメディシーンも多かったために急なシリアス展開に衝撃を受けた視聴者も多かったのではないだろうか。そのうえ戦いはジュピターの死だけでは終わらず、続いて一番攻撃力の弱いマーキュリーが仲間を先に行かせて一人残り、幻影を見せる敵の宝石を砕いて孤独に死んでいった。

 さらにヴィーナスが地中へ引きずり込まれ、1人の敵を倒して死亡。最後までセーラームーンを叱咤して気丈に振る舞っていたマーズも、残る2人の敵を倒して力尽きた。

 いずれのキャラも死に際は氷の柱に抱かれた絵画的な美しさがあったが、特にマーズの美しい黒髪が乱れて顔にはりつく作画がやたらとリアルで、「ああ、死んでしまったんだ」と嫌でも実感させられてしまう演出には鳥肌が立った。

 少女向けアニメで味方も敵も5人なら、1人1人ずつ戦って勝つというのが定石のように思えるが、実際は戦力差や攻撃方法でそうもうまくいかないという現実を突きつけられたストーリーで、味方の仲間でもこんなに簡単に命を落としてしまうんだと視聴者の心をドン底に突き落とした第45話。この最終決戦の前には神社で恋バナをしたり家族との大事な時間を過ごしたりしていた彼女たちだが、それが見事に死亡フラグとなってしまった。

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