■意外と多い『クレしん』の哲学的セリフ
最後は『クレヨンしんちゃん』から。もともとが青年誌連載のコミックスだからか、大人もうなる名言が多く登場する同作。今回はかすかべ防衛隊のメンバーたちの、5歳児ながら真理をついた2つの名言を紹介したい。
ひとつはアニメの中でしんのすけが友人のマサオ君に言った「マサオ君ってホントに親切。ホントにいい人。もしオラが女だったら、マサオ君とは絶対結婚しない」というもの。女性は誰にでも優しい男性を選びたくはないもの。語感がいいだけでなく、単なるギャグシーンに収まらない深みが感じられる。女性なら「あるある」と共感したくなるのでは?
もうひとつは2014年の映画『映画クレヨンしんちゃん ガチンコ! 逆襲のロボとーちゃん』から、マサオくんが「意外に楽チンなんだね、大人への階段って」と言ったことに対する風間くんの秀逸な回答。
「分かってないな、マサオくん。ぼんやり登っちゃうと、大人になってから大変だってママが言ってたよ」と、こちらも大人なら思わずギクリとしてしまうようなセリフだ。「あのときもっと本気で頑張っていれば」とあとになって後悔しないよう、今を全力で生きろというメッセージなのかもしれない。
ふだん笑いながら見ているアニメ・漫画にも、ときおりひょっこり顔を出す哲学的なセリフの数々。しみじみと、その奥深さを味わいたいところだ。