『巨人の星』大リーグボールに『侍ジャイアンツ』ハイジャンプ魔球? 野球作品で衝撃的だった「ロマンあふれる魔球」3選の画像
画像はBlu-ray版『TVシリーズ放送開始50周年記念企画 想い出のアニメライブラリー 第75集 巨人の星 劇場版』ジャケットより引用

 メジャーリーグでは「ロサンゼルス・エンゼルス」の大谷翔平選手(26)が大活躍。アメリカでも投手と打者の“二刀流”を実現させ、現在のところ本塁打王争いに加わるほどの好調を維持。日本のみならず、世界中の野球ファンを驚かせているプレイヤーだ。そんな前代未聞の挑戦を行う大谷選手を見ていると、子どもの頃にワクワクした野球漫画やアニメの主人公の姿に重ねてしまうのは私だけだろうか。

 昨年、本サイトが実施した「アニメ&漫画の最強のピッチャー」に関するアンケートでは、大谷選手と同じようにメジャーリーグで投打に活躍する『MAJOR』(漫画:満田拓也)の主人公「茂野吾郎」が2位にランクインしていた。

 そして、かつて一世を風靡した野球漫画やアニメのキャラクターと言えば、「魔球」や「秘打」といった独自の技を編み出すのが定番の流れ。当然フィクションなので物理的にありえなかったり、野球のルール上反則だったりもするのだが、夢とロマンあふれる“必殺技”の存在に胸が躍ったものだ。

 そこで今回は、個人的にとくに印象に残っている、野球アニメの「魔球」にスポットを当てて紹介していこう。

■左腕を失う覚悟で投げた「禁断の魔球」

 昭和生まれにとっての野球アニメの金字塔と言えば、やはり『巨人の星』(原作:梶原一騎、作画:川崎のぼる)だろう。その主人公・星飛雄馬が投じた魔球「大リーグボール」の名前は、作品を知らなくても聞いたことがあるのではないだろうか。

 針の穴を通す精密なコントロールを誇る飛雄馬が打者の構えた“バット”を狙う「大リーグボール1号」、消える魔球こと「大リーグボール2号」の存在も強烈だったが、もっとも衝撃的だったのは「大リーグボール3号」だ。

 これは飛雄馬が独特のアンダースローで投じる、超スローボールの魔球。ボールの縫い目が見えるほどのスローボールにもかかわらず、どんな強打者のバットも空を切る不思議な魔球である。スローボールというと『ドカベン』(漫画:水島新司)に登場する不知火守による「超遅球」も有名だが、星飛雄馬の「大リーグボール3号」は、ボールのほうがバットを避けるという不可思議な現象が起こるのが特徴だった。

 この魔球をオールスターで初披露したとき、飛雄馬はパ・リーグを代表するクリーンナップ、野村克也、ジョージ・アルトマン、張本勲を三者連続三振に切ってとる。その後、飛雄馬のライバルである左門豊作、オズマ、花形満らとの対決も、同魔球で勝利を収めた。

 飛雄馬の父・星一徹がコーチとして奇策を授けた中日の伴宙太は、「大リーグボール3号」を捉え、外野の間を抜けるヒット性の当たりを放ったが、魔球攻略のための作戦で疲労困憊だった伴は1塁に間に合わずにアウト。飛雄馬はこれで完全試合を達成している。

 この魔球は球速の遅さにもかかわらず、そこまで山なりのボールにはならない。しかも打者のスイング時の風圧を受けて、ボールが打者の手元で微妙に変化。そのため対戦相手は「ボールがバットを避けて通る」と感じ、バットが空を切る魔球だった。

 しかし、このボールには明確な弱点もあり、投手などの非力なスイングにはヒットにされることがあること(星一徹の作戦はその弱点を突いた)。そして投げる飛雄馬の左腕に尋常ではない負荷がかかっていることなどが判明。飛雄馬自身、「(大リーグボール3号は)無敵ではあっても投手自身の血をすするボール。禁断の魔球」と左門に送った手紙につづっていた。

 伴宙太は、星一徹の策によって意図的に極度の疲労状態にさせられヒット性の当たりを打ったが、結局のところまともな状態で「大リーグボール3号」を攻略した強打者はゼロ。また、完全試合を達成した星飛雄馬の左腕は同試合を投げきって完全に破壊されるという悲劇も相まって、視聴者の心に強烈なインパクトを残した魔球だ。

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