■人生で触れたことがないような楽器も

 変わった楽器を扱った作品といえば、2019年の春・秋に2期にわたってアニメが放送された『この音とまれ!』。『ジャンプスクエア』(集英社)で連載中のアミュー氏による同名コミックが原作で、和楽器の箏(こと)をテーマとした部活動が描かれる。

 同作はまるで少女漫画のように繊細な作画で、男女どちらが見ても楽しめるさわやかな作品。原作者のアミュー氏は母と姉が箏曲家という一家に生まれ自身も箏に触れて育っており、登場人物たちの箏に関する葛藤や思いにはかなりのリアリティがあると評判だ。

 またこのアニメのすごさといえば、作中に登場する箏曲の数々。中にはオリジナルの箏曲も存在し「龍星群」「久遠」「堅香子」「天泣」はそれぞれアミュー氏の母と姉が作曲したものだという。その中でもアニメ25話の、時瀬高校箏曲部が神奈川県予選で弾いた「天泣」は鳥肌が立つほど素晴らしい楽曲となっており、アニメのクライマックスにして「神回」と高く評価された。

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