■親友のために命を捨て、竜騎将の心も動かす

 純血の「竜の騎士」であるバランは、妻・ソアラを迫害して命を奪った人間に対し、強烈な憎しみをいだいていた。そのため息子のダイ(本名はディーノ)に人間を滅ぼすことを協力させようとして、拒絶されたことでダイの記憶を消し去った。

 記憶がないダイを連れ去ろうとするバランとの戦いが続く中、ポップが思い出したのは師であるアバン先生のこと。記憶がなく、おびえる親友・ダイにトレードマークのバンダナを託したポップは「…心配すんな すぐ終わらせてやるからよ…」と声をかける。

 ポップが選んだのは、かつてアバン先生がダイやポップの前で披露し、自らの命を散らせた自己犠牲呪文「メガンテ」の行使だった。アバンと同じように、自分の命と引き換えにバランを倒そうとしたポップだが、バランの抵抗により惜しくも失敗。これでポップは命を落としたが、親友の死を目の当たりにしたダイの記憶が蘇った。

 父と子の激しい直接対決が行われる中、バランの必殺技が繰り出されようとしたとき、突如死んでいるポップからバランに呪文が放たれる。これでバランに隙が生じ、ダイ渾身の「アバンストラッシュ」が炸裂した。

 結局、父子の戦いは双方が限界を迎える痛み分けに終わったが、バランは死してもなお友のために体を動かしたポップに衝撃を受ける。奇跡というかたちでポップが実証してみせた“人の心”の強さに打ちのめされたバランは、竜の騎士の血の力を用いてポップを蘇生させるのだった。

 強い恨みをいだき、人間を滅ぼすことにかたくなだったバランに、人間の心を取り戻させたのは間違いなくポップの功績と言えるだろう。

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