■仲間に真実を告げず、単身で強敵に向かう不器用さ
魔王軍の超竜軍団長で「竜騎将」と呼ばれているバラン。その正体は主人公ダイの実の父親であり、魔王軍最強の呼び声も高い圧倒的な強者だ。
バランが竜の紋章の力を行使したことによってダイは記憶を喪失し、戦線を離脱。残されたポップたちだけで、ダイを取り戻しに来るバランを迎え撃つことになる。戦力の要であるダイが戦えない絶望的な状況の中、ポップは「悪ィけどよ、おれはムダ死にはごめんだ」と言い放ち、さっさと逃げ出すことを申し出た。
そのポップの言葉を聞いたレオナやクロコダインたちはあきれ返り、親友のダイを見捨てて去ろうとするポップに大きく失望する。まるで、かつての怖がりで臆病だった時代のポップを思い出す場面だが、もちろんこれは彼の打った芝居だった。
こうして仲間のもとを離れたポップは、いち早くバランのもとへ向かい、単身で足止めする役を買って出たのだ。相手は魔王軍最強と言われるバランと、その部下の竜騎衆。ポップは命を捨てる覚悟で赴いたのは言うまでもない。
結果的にバランはポップを相手にせず、竜騎衆を残して先行。さらにヒュンケルの助太刀があったことでポップの命は助かったが、ヒュンケルと共闘した末にポップ自身も竜騎衆の1人「空戦騎ガルダンディー」を撃破している。
真実を知らない仲間からどれだけ憎まれようとも、その仲間たちのために自らの命を捨てる選択をしたポップ。その自己犠牲の精神と、彼らしい不器用な配慮に感動させられたシーンだった。