■悟空が師匠となった希有な例
●孫悟空とウーブ
息子・悟飯の師匠役をピッコロに奪われてしまった悟空は、魔人ブウの生まれ変わりであるウーブと師弟関係となる。
もともとウーブが生まれ変わったのは、ブウが消え去る前に「こんどはいいヤツに生まれ変われよ……」「一対一で勝負してぇ……」と悟空が願い、その気持ちをくんだ閻魔大王の粋な計らいで実現したもの。
この悟空の言葉通り、転生したウーブは期待通りのポテンシャルを秘めた男の子に成長していた。しかし、ブウ譲りのすさまじい力を秘めながら、空の飛び方すら知らなかったウーブ。それを知った悟空は、自らウーブを鍛え上げることを宣言したのである。
これまで悟空は仲間や家族に修行をつける場面はあったが、自発的に誰かの師匠となったのはウーブが初めてかもしれない。その裏には「強くなったウーブと本気で戦いたい」という、サイヤ人の悟空らしい理由があるのだが……。『ドラゴンボール』の最終話で描かれたエピソードなので印象に残っている人も多いのでは!?
■それぞれの師弟関係
今回は『ドラゴンボール』を代表する3組の師弟関係を紹介してきたが、現実社会でも歓迎されそうな理想的な師匠を1人挙げるとすれば、やはり亀仙人だろうか。
武術の腕前だけでなく弟子たちの心まで鍛え上げ、他流派の人物であろうとも道を外れそうな若者に毅然と助言した姿勢は「さすが武天老師様」といった感じ。
また作中では、成長した弟子たちが師匠の実力を追い越していく場面が登場する。しかし弟子がどれだけ強くなったとしても、師に対するリスペクトを感じるシーンがさり気なく描かれている点は『ドラゴンボール』の好きな部分でもある。