■くさいセリフからの下ネタの意図は!?

 ある大学で免疫学の研究をしていた才色兼備の美女・名取かずえ。彼女のフィアンセは、兵器として転用できる殺人バチの改良に、知らないうちに手を貸してしまう。しかし、殺人バチを生み出す真の目的を知ってしまったことで、そのフィアンセは殺害されてしまった。

 かずえは亡き婚約者の遺志を継ぎ、殺人バチの解毒剤を開発。その殺人ハチに刺されたリョウが副作用で「もっこり不能」になるというアクシデントもあったが、無事に彼女が完成させた解毒剤によってリョウの下半身も元気に復活した。

 亡くなった婚約者の遺志を成し遂げたにもかかわらず落ちこんだままのかずえに対し、リョウは優しい言葉をかける。

「今度はおれが……君の解毒薬になりたいんだ……心のね」。

 字づらだけを見るとすごくカッコいいセリフに思えるが、過剰なまでのキザな言い回しだ。これを近くで聞いていた香も、思わず「くっさぁ~~」とツッコんだほど。

 そして一連の騒動が無事解決し、かずえとリョウの関係は急接近していく。そんなかずえの指にリングをつけ、良い雰囲気になったときにリョウが言い放ったのは「かずえ、これで……」「一発やらせろっ」というセリフだった。

 くさいセリフ以降に築き上げた好印象をぶち壊す、リョウのド下ネタのセリフにかずえはブチギレ! リョウに豪快な平手打ちを叩きこみ、「私はアメリカで未来をみつけることにしました!」とリョウの前から去っていくことに。

 もちろんかずえの心を揺さぶったくさいセリフ、そして最後の下ネタで甘いムードをぶち壊したのも、死んだ婚約者のことを引きずるかずえを元気づけ、前向きに立ち直らせるための「粋な計らい」だったのは言うまでもない。

 単にカッコよいセリフだけで締めず、自らを三枚目の悪者に仕立て上げたあたりに、リョウらしい気の利いた配慮を感じたシーンでもあった。

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