■新海誠作品の美しい背景描写に多くの支持

 そして、堂々の第1位に選ばれたのは、13.3%の人から支持された2016年公開の『君の名は。』(コミックス・ウェーブ・フィルム)。『秒速5センチメートル』(2007年)や『言の葉の庭』(2013年)などですでに一部のファンから熱狂的な支持と高い評価を得ていた新海誠監督の名前が世に知れわたった大ヒット作だ。

『君の名は。』は、東京に暮らす少年と飛騨の山奥で暮らす少女が突然入れ替わってしまった謎の現象と、1200年ぶりに地球に接近する彗星をめぐるSF作品。主題歌や劇中歌など、劇中の全楽曲をRADWIMPSが務めている。

 同作の魅力はなんといっても新海監督の卓越した風景描写。登場人物の物理的な距離の遠さを、舞台である都心のリアルな風景と自然いっぱいの飛騨の風景の対比で見事に描いている。また、キービジュアルでも使用されている先の別れたティアマト彗星が、2人に襲いくる運命を暗示するかのようにも見える。

 本作を選んだ人からは「空の描写が美しい」というコメントが圧倒的に多かった。特に、瀧と三葉が自分自身の姿で初めてお互いに出会う「カタワレ時」のシーンでの、青やピンクが繊細で複雑に混ざり合った空の色を絶賛する声が多く届いていた。ほかには、「雲の動きがきれい」(32歳・男性)、「実写みたいだった」(47歳・男性)、「思わず泣いてしまった」(40歳・女性)とかなりの感動を呼んだようだ。

 日々、技術の進歩によって描写がどんどん精巧になっていることもあってか、票が大きく割れた今回のランキング。スタジオジブリ作品や新海誠作品の人気が目立ったが、繊細な風景描写や柔らかいタッチが魅力的な『聲の形』(2016年/京都アニメーション)や、田舎の夏の風景がノスタルジックな気持ちになると好評の『サマーウォーズ』(2009年/マッドハウス)にも多数票が入っていた。

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