ファミコン初の本格RPG『ハイドライド・スペシャル』ほぼ同期の国民的RPG『ドラクエ』と何が違ったのか!?の画像
ファミコン『ハイドライド・スペシャル』(編集部撮影)
『ハイドライド・スペシャル』懐かしのゲーム画面

 明日3月18日で、ファミコンソフト『ハイドライド・スペシャル』が発売されてから、ちょうど35年となります。『ハイドライド・スペシャル』は、1986年3月18日に東芝EMI(現在の権利者は株式会社D4エンタープライズ)から発売された、ファミコン初のアクションRPG(カセットにはアクティブRPGと書かれていました)。開発はパソコンゲームメーカーの雄、T&Eソフト。なんとあの『ドラゴンクエスト』より2か月も早く発売されており、ファミコン史において、敵を倒して経験値を稼いでレベルアップ、さらなる強敵に挑むというRPGのお約束をいち早く確立させた作品なのです。

ファミコンソフト『ハイドライド・スペシャル』タイトル画面

 封印から解き放たれた悪魔「バラリス」に支配されてしまった妖精の国「フェアリーランド」。プレイヤーは青年「ジム」となり、打倒バラリスを目指して戦います。ちなみに最初に倒すモンスターはスライム。スライムが最弱モンスターというRPGのもうひとつのお約束を印象づけたのは『ドラゴンクエスト』だと思いますが、実は『ハイドライド・スペシャル』のほうが先だったんですね(ちなみにRPGなのかアクションゲームなのか判断に迷うところですが『ドルアーガの塔』(ファミコン版は1985年発売)にもスライムが出現します)。

 ファミコン初の要素をふんだんに取り入れた斬新なゲーム。その表現に間違いはありませんが、『ハイドライド・スペシャル』の評判はあまり芳しくはありませんでした。その理由は「説明不足」のひと言に尽きます。

 まずゲームを開始すると主人公のジム君はポツンと平原に放り出されます。近くには最弱モンスターのスライムがうろうろしているのでとりあえずATTACKモードで突撃してみると……戦闘中、3回ダメージを受けると死亡。そこに容赦はありません。まさに苛烈!

 だって『ハイドライド・スペシャル』はアクティブRPGなのです。総じてモンスターは強めで、敵の側面や背後から攻撃しないと大ダメージを受けてしまうなど、プレイヤーの操作が非常に重要になっているのです。ときにはDEFENCEモードで突撃し、受けるダメージを抑えながら少しずつダメージを与えていくといったテクニックも必要になります。

 こういった戦闘の基礎技術は、ふつうのRPGだと初期村の人などが教えてくれるものですが、『ハイドライド・スペシャル』にはそんな親切な人はいません。……というか、人がいません。「なんだよフェアリーランドって魔物の巣窟かよ、ジムくん何者だよ!」そんな愚痴を言っても意味はありません。「やって覚えろ!」という、まるでブラック企業のようなスパルタ教育がそこにありました。

 しかし、『ハイドライド・スペシャル』を責めないでやってください。

スタートすると、いきなり主人公がフィールド上に放置されている
  1. 1
  2. 2