野球ゲームの金字塔『実況パワフルプロ野球』シリーズ。野球というルールが複雑なスポーツを題材にしたものすごいゲームだが、その複雑さを補うために、簡易化している部分も多々見られる。筆者は小学校4年からの9年間、白球をダラダラ追いかけていた経験があり、実際に野球をプレイするときの感覚と、『パワプロ』をプレイするときの感覚の違いがいくつもあった。その中でも、筆者が無垢な野球少年だったときに「リアルはこんなんじゃねーよ!」と特に感じたことを紹介したい。(※記事内で触れる『パワプロ』は、筆者が夢中で遊んだNintendo64『実況パワフルプロ野球5』『実況パワフルプロ野球6』についてです)
■バントはめちゃくちゃ難しい
チャンスを拡大するための作戦“バント”。パワプロでは、ボールを転がしたい方向に矢印を設定し、内角だろうが外角だろうがボールの“高さ”さえ間違わなければ、望み通りのバントが簡単にできる。しかし、リアルのバントはそんな甘っちょろいものではない。
バントをするうえで最も大切なのがバットの角度である。バットの先端が下がっていると、どれだけタイミングよくボールに当てられても、ファールになりやすい。パワプロではバントの構えが完璧で、バットをボールに当てるだけでもキレイに転がってくれるため、実際のバントの苦労が見えにくくなっている。
また、外角のボールには、内側に右足を踏み出さなければいけいないから怖い。(※筆者は左打)内角のボールには、ボールがバットを握る指に当たりそうで怖い。そして、「バントは打つより簡単」という風潮のせいで、絶対失敗できないという怖さもある。バントのサインを出されたときは、さまざまな恐怖と戦わなければならず、非常にタフな作業なのだ。