■賀集本人も「翔一のポジティブな考えに心惹かれる」

 同作は、神秘的な美しさ、スタイリッシュな動き、重厚なストーリーなど、あらゆる面において評価が高く、現在でも根強い人気を誇る。

「アギト」に変身する記憶喪失の青年・津上翔一、警視庁が開発した人工ライダー「G3」の装着者である刑事の氷川誠、不完全なライダーの力に目覚めてしまった「ギルス」こと葦原涼の3人による群像劇となっており、それぞれが主人公と呼んでも差し支えない、深いドラマが描かれた。

 戦う敵は「アンノウン」と呼ばれる謎多き怪物。序盤は、なぜ人々を襲うのかが明らかになっておらず、津上翔一の記憶喪失の謎と合わせて、物語の重要な要素だった。

 オープニング映像で映る意味深なイコン画。人間でないこと以外は一切正体不明の謎の青年。かつて氷川が目撃した、不可解な海難事故「あかつき号事件」などなど、多くの謎が少しずつ提示され、最初は接点のなかった3人のライダー、そして中盤に登場するもう一人のライダーらが徐々に集結し、真相が明らかになっていく、サスペンスドラマのような要素もある。

 アクション面においても、徒手空拳で敵を圧倒してからツノが開き、ライダーキックを放つ姿がどこまでもムダがない美しさのアギト。超能力はないが、必死に銃火器で敵に立ち向かうメカニカルなG3。うなり声をあげながら噛みつきやトゲを突き刺すかかと落としなど、どこまでも荒々しく野性的に戦うギルス。三者三様のアクションはいずれも非常に魅力的だ。

 賀集は、『プレミアムバンダイ』の『オルタリング発売記念インタビュー』で、「全体的に、翔一のポジティブな考えに心惹かれますね。みなさんが落ち込まれたり、悩んだりしたとき、ぜひアギトを振り返って、翔一の言葉を聞いて頂いて、元気を取り戻してほしいと思っています」とコメントしている。

 コロナ禍が一向に治まる気配のない2021年。そんな現代こそ、アギトを見てみるのもいいかもしれない。翔一の明るさ、氷川のガッツ、涼の不屈の精神。『CSM オルタリング』はしばらくは手に入りそうにないが、彼らの雄姿が私たちに力を与えてくれることだろうーー。

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