©西修(秋田書店)/NHK・NEP
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村瀬歩演じるお人好しの少年・鈴木入間が、悪魔学校で奮闘しながら成長する姿を描いた奇想天外なファンタジーコメディアニメ『魔入りました!入間くん』第3シリーズが、NHK Eテレにて好評放送中。手掛けているのは『おねがいマイメロディ』シリーズや『プリパラ』シリーズなどで知られるギャグアニメの名手・森脇真琴監督だ。

監督インタビューの前編では、本作のこだわりや豪華な声優陣の魅力を伺ったが、後編の話題は“魔界”を舞台にしている本作ならではの強みや魅力について。そして中盤へと入りつつある第3シリーズの見どころについても、語ってもらった。(前後編)

前編はこちら

 

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じわじわと自分の陣地を増やしていきたい

 

――Eテレで土曜の夕方に放送されているというのもあり、『入間くん』は子どもも大人も一緒に観られて、老若男女問わずに楽しめる作品ですよね。そのために何か心掛けていらっしゃることはありますか。

 

いや~、どっちかと言うと心掛けてないですね(笑)。私はやりたいところまでやって、それをまわりが抑えにかかる、という状態でいいのかなと思ってます。自分で自分を止めるようなことをするのは良くないだろうなと思うんですよね。もっとすごい表現をできるように、じわじわと自分の陣地を増やしていけたらいいかなと。ただ『入間くん』って魔界が舞台ですから、お色気授業もあるし、教師が生徒に罰を与えたりもしますし、お色気シーン、家族で観て笑えてます? “シーン……”とか、ならない?

 

――我が家は幼児もいますが、絵柄もかわいくてポップなので気まずくはならず(笑)、家族で拝見しております。子どもたちも「こういう世界があるんだな~」という感じで。

 

基本ギャグだからね。私、子どもたちには本当に『入間くん』を観てほしいんですよ。昔のアニメは内容がもっと自由だったじゃないですか。『入間くん』は今のアニメだけど、そういう内容が結構許される作品だと思うんです。それは『入間くん』が人間界じゃなくて、魔界の話だから。お色気授業だけじゃなく、拷問の存在も出てくるし、盗みや詐欺を誉れとしている人も出てくる。『入間くん』だとそういうものが存在する世界を描けるし、それを子どもたちにぜひ見てほしいんです。世の中はそんなにきれいなものばかりじゃないんだから、『入間くん』を観てもっと世の中に慣れていこうねって(笑)。

 

©西修(秋田書店)/NHK・NEP
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――盗みや詐欺をするキャラクターたちも、単なる悪人ではなくて人柄に魅力や人間味があって、奥行きを感じます。

 

そういう面白い世界ですよね。あと、人間界と価値が転倒しているせいなのか、偽善者がいないんです。みんな悪魔だから、本音しかないんですよね。そこがスッキリしていて、どのキャラクターも元気な理由なのかな。

名前もいいですよね。どのキャラクターも、ネーミングのセンスがすごく面白いなあと思ってます。特に入間くんの名前がいいんですよ。入間市という実在の地名があるから覚えやすいし、ひっくり返すと“まいる”=「参りました」になり、「魔に入る」にもなる。ちょっと完全数(自分より小さい正の約数の和となる自然数)みたいじゃないですか? 私は、入間という単語は“完全言語”だなと思ってます(笑)。だからその世界も、どこまでも矛盾なく、破綻することなく冒険していけるような、完全な世界だな~と思いますね。

 

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