待望の新作『ガンダム』である、『機動戦士ガンダム 水星の魔女』。本作で、主人公としてガンダム・エアリアルを駆るのがスレッタ・マーキュリー(市ノ瀬加那)。本作は、数多の企業が宇宙に進出し、巨大な経済圏を構築した時代が舞台。「アスティカシア高等専門学園」のパイロット科に、辺境の地である水星よりスレッタが編入してきたことから、物語は始まる。
後編では、スレッタ役の市ノ瀬に役の追求のためにしていること、仕事への向き合い方に迫る。
前編はこちら
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「アムロとランバ・ラル大尉の関係性が素敵でした」
――ガンダムシリーズに対しては、これまでどんな印象を持っていましたか。
実はガンダムシリーズをちゃんと観始めたのは、本作に関わらせていただけることになってからなんです。それまでは『ガンダム』って男の子のものっていうイメージがあったんですが、いざ観てみると、女性もカッコ良くモビルスーツに乗っていますし、戦いについて、すごく深く考えさせられる作品なんですよね。敵同士でも、そこにロマンがあったりとか。それこそ、『機動戦士ガンダム』のアムロとランバ・ラル大尉が酒場で出会って、言葉を交わすシーンは素敵でした。戦場では敵同士になってしまう二人だからこそ、もし境遇が違い、仲間だったら、すごくいい関係を築けていたのかもしれないなと考えてしまいましたし、切ない気持ちになりましたね。
――確かにそうですね…。
今まで深く内容を知る機会がなかったのですが、観てみると、敵にもフォーカスが当たるからこそ感情移入しちゃって、もどかしいんですよね。上からの命令で戦わなきゃいけないし、でもそれに対して使命も感じていたり、それぞれの葛藤や戦うことの意味みたいなものをすごく考えてしまいました。
――『機動戦士ガンダム』では、現在レジェンドと呼ばれる声優さんが出演されていますよね。そのお芝居については、どのように思いましたか。
私が何かを語るのはおこがましいですが、本当に素晴らしいなと思いました。味があるといいますか、人間味に溢れるお芝居ですよね。時の流れとともに、アニメの方向性や、お芝居の仕方は徐々に変わっていきますけど、当時ならではの味があって、私はすごく好きでした。
Lynnさんの声でミオリネさんの存在感がスッと入ってくる
――スレッタとは特別な関係を築く、同級生のミオリネ・レンブランとの関係性についても、教えていただけますか。
パワーバランスは、ミオリネのほうが強い感じがしますね。 スレッタは常にミオリネに怒られていますし(笑)。でも、スレッタは怒られて怖がってはいるんだけども、決して引いてはいない。恐る恐るでも、 自分が嫌なことはちゃんと伝えられる子なので、 二人のバランスは意外といいし、面白い組み合わせだと思います。
それから重大なのが、ミオリネのお父さんはスレッタにとって仇敵の存在なんです。もしその事実を知ったとき、二人の関係性がどうなるのかも気になりますよね。
――ミオリネを演じるLynnさんの声優としての魅力は、どんなところに感じましたか。
今作でLynnさんと初めて掛け合いをさせていただいて、セリフを初めて聞いた時に、すごくナチュラルなお芝居をされる方だなって驚きました。ナチュラルだけど、ミオリネさん自身の言葉がすっと入ってくるような感覚もあって。スレッタとしても、私としても、演じやすくて、ご一緒する中で触発されています。
――お二人の化学反応が、どのように作品に昇華されるのかとても楽しみです。
ありがとうございます。他の共演者の皆さんも、自然なお芝居をされる方が多いので、キャラクターのリアルさや、親近感みたいなものを感じてもらえるんじゃないかなと思います。
――今作の収録も含めて、声優のお仕事の中で楽しみ、面白さを感じるのはどんなところですか。
今は、スレッタを演じることが楽しくて仕方ないです。 彼女のことを知れば知るほど大好きになっていきますし、毎回ストーリーの続きが気になる。毎日、1秒でも早く収録へ行きたいくらいです。 声優として、お芝居が楽しいので、やりがいも感じています。
――一方で、大変なのはどんなことですか。
そうですね…楽しい反面、毎日大変でもあります(笑)。私は不器用なので、準備に時間がかかったり、他人の倍は脚本や自分の声のチェックに時間がかかるんですよ。時には睡眠を削ることもあります。大変だけど、それを嫌だとは思わないですし、そういう自分が出てきそうになったら、頑張るだけですね(笑)。