「もっとテンパってください」という演出

©創通・サンライズ・MBS
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――最初に台本を読まれたときの印象はどうでしたか。

 

次の話の展開が本当に気になる脚本の運びだなと思いました。すごく惹きつけられるものがありましたし、キャラクターもそれぞれ個性が強くて魅力的なんです。特に第1話は、登場人物たちがこれからどのようにスポットライトを浴びて行動していくのか、というところが、とても気になるストーリーだったと思います。

第1話より前に放送された、前日譚「PROLOGUE」では「ガンダムを否定します」というセリフで終わっているんです。だから、ガンダムが否定されている、使ってはいけない危険なものとして扱われている『水星の魔女』の世界で、ガンダムってどういう描き方になるんだろうって思いました。スレッタが家族同然に接しているエアリアルは、一体どんなふうに物語に関わっていくんだろうとすごく楽しみにしています。

それから、1話のスレッタのテンパり具合を現場で演じたら、「もっともっとテンパってください」とご指示をいただいて、想像以上のテンパり具合なので、コミカルな部分でも楽しんでいただけるのかなって思います(笑)。

 

――スレッタの第一印象はいかがでしたか。収録を進める上で、その印象はどういう風に変わっていったのでしょうか。

 

最初にキャラ絵を見たときは、 大人しいキャラクターなのかなと思いました。うまく意見が言えなかったり、それでちょっと内にこもっちゃう子なのかな、と。 でも、台本をいただいてお芝居を進めていくごとに、一番最初に感じた印象からは、ちょっと変わっていって。

確かにコミュニケーション下手ではあるんですが、人に興味があって、 頑張って一歩踏み込もうとするところがあったりするんです。変わり者な部分もあるので、“どんなふうにヘンなところを出していこうか”とも考えました。

スレッタは、水星にいた頃、同世代の子たちと関わりがなかったので、どうやって他人と距離を詰めていいのか分からないんですよね。だから、距離を詰めすぎちゃったりするんです。そういうチグハグ具合を、お芝居では意識しています。その絶妙なバランスが面白いなって思いましたね。

 

――そうしたバランスは、最初からすんなり演じられましたか。

 

最初は戸惑いました。 監督からは「たくさんアドリブ入れていいですよ」と言っていただいたんですが、“この子のアドリブってどうやるんだろう”って思うくらい、最初は掴めなかったです(笑)。でも細かにディレクションをいただくごとにスレッタの人物像がどんどん広がって、 少しずつ方向性が見えてきたように感じています。

 

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――アドリブで採用されたもので印象に残っているのは?

 

最初の頃のスレッタちゃんはテンパり具合がマシマシなので(笑)、「すみません」を「ずびばぜん」みたいな感じで言ってみたりして、コミュニケーションが苦手なところを出していきました。

 

――スレッタとご自身に、なにか共通点はありますか。

 

彼女は、人と最初どう関わっていいのかがわからない子なんですよね。私も、人とコミュニケーションを取るときに焦ってしまう部分があるので、そこに共感します。挙動不審になってしまうところなんかは、近いかもしれません。私、突然話しかけられたら、びっくりして噛んじゃったりしますし(笑)。 だからそういう部分は、オーディション原稿を読みながら、とても共感して演じさせていただきました。

でも、スレッタはやっぱり主人公だなって思うのが、「ダメなことはダメ」とへっぴり腰になって足がガクガク震えながらも、しっかり言えるところ。私自身は、イヤなこともあんまりハッキリ言えないので、そういう部分はちょっと違うとも思いますね。

 

後編へ続く。

 

【プロフィール】
市ノ瀬加那 いちのせ かな

12月20日生まれ、北海道出身。2016年に声優デビュー。19年に『Fairy gone フェアリーゴーン』で初主演を務める。近年の出演作に『Do It Yourself!! -どぅー・いっと・ゆあせるふ-』(ぷりん/須理出未来)、『乙女ゲー世界はモブに厳しい世界です』(オリヴィア)など。

 

 

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©創通・サンライズ・MBS
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<作品紹介>
『機動戦士ガンダム 水星の魔女』
2022年10月2日より毎週日曜午後5時~
MBS/TBS系全国28局ネットにて放送中

 

<STORY>
その魔女は、ガンダムを駆る。 A.S.(アド・ステラ)122―― 数多の企業が宇宙へ進出し、巨大な経済圏を構築する時代。 モビルスーツ産業最大手「ベネリットグループ」が運営する「アスティカシア高等専門学園」に、辺境の地・水星から一人の少女が編入してきた。 名は、スレッタ・マーキュリー。 無垢なる胸に鮮紅の光を灯し、少女は一歩ずつ、新たな世界を歩んでいく。

 

<スタッフ>
企画・制作:サンライズ、原作:矢立肇/富野由悠季、監督:小林寛、シリーズ構成・脚本:大河内一楼、キャラクターデザイン原案:モグモ、メインキャラクターデザイン:田頭真理恵 キャラクターデザイン:戸井田珠里/高谷浩利、メカニカルデザイン:JNTHED/海老川兼武/稲田航/形部一平/寺岡賢司/柳瀬敬之、音楽:大間々昂

<キャスト>
スレッタ・マーキュリー:市ノ瀬加那、ミオリネ・レンブラン:Lynn、グエル・ジェターク:阿座上洋平、エラン・ケレス:花江夏樹、シャディク・ゼネリ:古川慎、ニカ・ナナウラ:宮本侑芽、チュアチュリー・パンランチ:富田美憂

 

【公式サイト】g-witch.net
【公式Twitter】@G_Witch_M
【公式TikTok】@g_witch_m

 

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