©TNSK・講談社/春来亭活動写真部
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いつも前向きでがむしゃらな豆狸の少女・まめだが、“上方落語四天王”の一人である女流落語家・大黒亭文狐に押し掛け弟子入りし、一人前の落語家を目指していくアニメ『うちの師匠はしっぽがない』が放送中。対照的な師弟のコミカルなやり取りや上方落語の笑いを楽しみながら、じんわり沁みる人間ドラマを味わえる作品だ。

文狐を演じる山村響インタビューの前編では上方落語に関する話を聞いたが、後編では文狐というキャラクターにフォーカス。さらに芝居の中で感じる喜びなど、山村が抱いている“芸”への想いを聞いた。(前後編)

インタビュー前編はこちら

 

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もの言わず芝居で語り合ったM・A・Oとのアフレコ

©TNSK・講談社/春来亭活動写真部
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――山村さんは、演じていらっしゃる大黒亭文狐というキャラクターを、どのように捉えていらっしゃいますか。

 

オーディションの原稿を拝見したときは、割とまめだを突き放すシーンが多くあったので、やっぱり見た目通りクールビューティーな感じなのかな?と思いました。でも原作を読み進めるにつれて、まめだを受け入れてしまう優しさが出てくるんですよね。徐々にまめだを溺愛していく姿がかわいらしくて、最初は怖い印象でしたけど、すごく人間らしいんだなって。そんなことを言ったら文狐師匠から怒られるかもしれませんが(笑)、ちゃんとあったかいキャラクターなんだなと思いました。

 

――その変化はアフレコでも意識して出していかれたのでしょうか。それとも自然と?

 

それが、原作を読んでからアフレコに臨んだので、最初の芝居がまめだに対して優しい感じになっていたようなんです。なので音響監督の納谷さんから「あのね、まだアニメの序盤だからね。もっと冷たく突き放していいよ」とディレクションをいただきました(笑)。それから話数が進んだ頃に「これくらい優しさを出してもいいですか?」と相談して、二人の関係性と文狐師匠の態度を調節しながら進めていきましたね。

 

――まめだ役のM・A・Oさんとは、かなりご一緒にアフレコできたと伺いました。

 

まめだの声を一声聴いたときから「まめだそのもの!」と思いましたね。まめだは嬉しかったり、悲しかったり、怒ったり……というのがワンカットごとに変わることが多いのですが、それを区切らずに一気に演じていたので、「すごいな、M・A・Oちゃん…!」と。私はもう、見守るような気持ちで後ろから見守っていました(笑)。

あと毎回、最後に「しっぽなのしっぽ」という落語の解説コーナーがあると思うのですが、かなり早口でまめだが説明していくじゃないですか。そこも「M・A・Oちゃん、毎回頑張っててすごい!」と見ていました。

 

――あのコーナーは演目について詳しく知ることができるので、毎回楽しみにしています! まめだと文狐の師弟関係を作っていくために、お二人でお話し合いなどはされましたか。

 

M・A・Oちゃんとは共演させていただくことが多いので、割とものを言わずにお芝居で語り合うというか(笑)。「M・A・Oちゃんはきっと、こういう感じのお芝居で来るんじゃないかな」と予想しつつ、アフレコの現場でM・A・Oちゃんの言葉を聴いて、それに対して自分のお芝居をぶつけていくという感じで演じることができました。M・A・Oちゃんが一緒にお芝居をしてくれるので、すごく安心しながら、だけど師匠としての厳しさをちゃんと出しながら、お芝居させていただけたかなと思います。

 

©TNSK・講談社/春来亭活動写真部
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