「山寺宏一さんが喜んで語ってくださった」(榊原監督)

山寺宏一 ©映画「その声のあなたへ」製作委員会

――本作には、内海さんと同世代の羽佐間道夫さん、野沢雅子さん、そして後輩声優である山寺宏一さんや、浪川大輔さん、谷川紀章さんら、そうそうたる声優が証言者として登場しますが、撮影はどのように行われたのでしょうか。

 

榊原監督 この映画はちょっと特殊な構造をしているんです。声優さんたちを取材対象に、内海賢二さんにまつわるお話を聞いているのは、アニメイトタイムズの記者である、結花というフィクションの人物ですから。いわばドラマパートとノンフィクションパートがあるんです。撮影ではその二つのパートをなじませるのが大変でした。カメラを5台用意し、カメラマンたちと僕で撮影しながら、都度、結花役の葵あずささんとも会話をしながら…という形で撮影中はフルに頭を回転させていました(笑)。あと、純粋にこれだけの声優の方に、2時間お話を聞けることがなによりの幸せでした。

 

谷山紀章 ©映画「その声のあなたへ」製作委員会

――ドラマ部分とノンフィクションの部分がシームレスに繋がっているのもおもしろかったです。

 

内海 こういう手法のドキュメントってあまりないですよね。僕はそこも含めて、監督のセンスを信頼していたし、自分の想像以上のものができていったので、非常に感謝しています。

 

――とくに本作では、大ベテランのみなさんがすごく若々しい笑顔で内海賢二さんのことをお話しされる姿も素敵でした。青春時代をともに駆け抜けたことが観ているこちらにも伝わりました。

 

内海 確かにそうですね。出演オファーのほうは、僕から声をかけさせていただいたのですが、皆さん二つ返事で出てくださいました。

 

榊原監督 皆さん、内海さんのことをお話されるとき、すごく嬉しそうに語ってくださいましたね。山寺さんは本作の撮影前にご挨拶をしたところ、「こういうふうに内海賢二さんのことをお話させてくれる場を作ってくれて、本当にありがとうございます」と笑顔で仰ったんです。本当に内海さんが愛されているのを感じましたね。同時に、取材させていただいた方は、僕自身尊敬している声優さんばかり。だから、みなさんカッコ良いなと思いましたし、いち声優ファンとしてそのカッコ良さをあらためて世に届けたい思いでした。

 

神谷明 ©映画「その声のあなたへ」製作委員会

 

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