イラストレーターで漫画家のナガノがTwitterで発信し、SNSを中心に人気を博している漫画『ちいかわ』。本作のアニメーションが、今年4月よりフジテレビの『めざましテレビ』内で放送中だ。
あどけなくてがんばり屋のちいかわが、ハチワレやうさぎといった仲間たちとともに、楽しくも過酷でもある日々を描くこのショートアニメは、どのように作られているのか。本作でプロデュースを務める、障子直登氏にお話を聞き、作品の魅力と制作の裏側に迫った。
「ちいかわの可愛さは、本当に絶妙なんです」
――毎週金曜に『めざましテレビ』で放送され、最新話がYouTubeでも配信中のアニメ『ちいかわ』を毎週楽しみにしています。このアニメ化の企画は、どのように動き出したのでしょう。
最初はフジテレビのアニメ制作部にアニメ化のお話をいただきました。僕たちアニメ制作部は、深夜の“ノイタミナ”(毎週木曜日、24時55分~フジテレビ他にて放送)や「+Ultra」(毎週水曜24時55分フジテレビ他にて放送)という枠を中心に制作をしておりますが、部署の中でも注目の作品であったため、『めざましテレビ』と協議し、番組内でのアニメ化が決定しました。
――原作のどのような部分に魅力を感じてらっしゃいますか。
大前提は、とにかく可愛いということですよね。しかし可愛いだけではないというのも深いところ。怖いやつが出てきたり、欲しいもののために労働しないといけなかったり、人間社会と変わらない世界が描かれているところが共感を生んでいるんじゃないかと思います。
――しかも、幅広い世代に愛されていますよね。障子プロデューサーがとくにお好きなエピソードは?
草むしり検定のお話が好きですね(笑)。あの話は、僕自身が小学生だったときのことを思い出します。当時、通っていた塾で進級テストがあって、受かった人だけが塾内でレベルの高いクラスへ行けたんです。僕はそのテストを友達と一緒に受けたのですが、僕だけそのクラスに上がれなかった(笑)。そういうことを、原作を読んだ際に思い出したんですよね。なので、新しい作品であると同時に、読んだ人にとってはどこか懐かしくも思えるようなお話なんじゃないかなと思います。
――確かに、そういうポイントがありますね。原作者のナガノ先生とは、どんな会話を重ねてアニメ化されているのでしょう。
たくさんのファンの方がいらっしゃる中で、アニメ化すれば、“思っていたのと違う!”という声も上がると思うんです。とはいえ、キャラクターの動き一つとっても、アニメにすると原作とは違うものを考えないといけない。そこで、どのようにキャラクターを動かせばより可愛くなるのか、ナガノ先生からアドバイスをいただいています。
――どんなアドバイスを?
アニメーターの方々がおっしゃるのが、ちいかわの絵を描く難しさなんです。制作スタジオの動画工房さんもキャラクターを可愛く描くにあたって、かなり苦労されたようです。そこで、顔のバランスや形、輪郭線の太さなど、ナガノ先生に“こうすれば可愛くなる”ということを細かく教えていただきました。そうしたアドバイスを大事にしています。
――ナガノ先生直伝なんですね。本作がなぜ原作をこれほどまでに再現しているのかがよくわかりました。
先生のお描きになるちいかわの可愛さは、本当に絶妙なんですよね。描くうえで、先生にしかわからないツボがある。なので、キャラクターに対しての先生のご意見を、いつも参考にさせていただいています。