現在、絶賛放送中のテレビアニメ「はたらく魔王さま!!」。日本に“逆異世界転生”してきた魔王や悪魔、勇者たちが、東京の笹塚で暮らす様子を描いた「フリーター魔王さまが繰り広げる庶民派ファンタジー」だ。9年ぶりの新シーズンとなる2期は、ファンの熱い視線を集めている。そんな本作の監督を務める筑紫大介に、声優が演じるキャラクターの魅力や、アニメ業界への思いを聞いた。
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声優から感動をもらった
――筑紫監督が考える、「素晴らしい声優が持っているスキル」はどのようなことでしょうか。
やはり“聞く力”と“距離感”ではないでしょうか。お芝居って、リアクションだと思うんです。掛け合いの中で相手の話をどう聞いて、どう返すかというのが大事なんですよね。もちろん、台本があって、キャラクターがいて…というところではあるのですが、聞く力が重要だと感じます。それに付随して、キャラクターの物理的、心理的な距離感。その距離をうまく取れる方は上手だなと思いますね。
――なるほど。これまでに声優さんのお芝居で、心を動かされた瞬間はありますか。
声優さんのお芝居には、よく感動させられます。自分で画を作り編集して、アフレコ現場でその声を聞いたときに、涙がこぼれるのはよくあることなんです(笑)。
過去に音楽がメインの作品を作ったのですが、その最終話前後で、曲も盛り上がり、キャラクターの感情も高まったところで、声優さんが泣き崩れたんです。それくらい感情移入して臨んでくださったんですね。人が泣いて立っていられなくなるという瞬間を、僕自身、人生で初めて目の当たりにしまして。その姿に、すごく情熱を感じましたね。
――監督自身がアニメーション業界で働くことを決められた理由を教えてください。
単純に、昔からアニメが好きだったんです。小さい頃に『機動戦士 ガンダム』や『うる星やつら』を観てのめり込んでいったんですが、直接的なきっかけになったのは、『魔法のスター マジカルエミ』ですね。あのときの感動はいまでも残っています。日常を積み重ねて、最終話で別れを描くアニメなんですが、すごく心を動かされて、“自分もこんなふうに感動する作品を作りたい!”と思っていました。
――その思いが、今作にも活かされているのでしょうか。
日常と、その中にある大切なものを描いていきたいという気持ちはずっとあって、それは『はたらく魔王さま!!』にも託されているかもしれません。僕は、高校を出てからシナリオ学校のようなところに通っていたんです。でも、自分の頭の悪さを自覚しまして(笑)、そのあと普通に大学へ行って、アニメ会社に入って今に至ります(笑)。
――その中で、監督がお仕事で辛い思いをされたときはどのように乗り越えていますか。
この道をプロとして歩み続けることには、少なからず大変さを感じます。実はアニメ監督というのは、下働きなんですね。しかも監督は、作品の反応がダイレクトに自分に来ますから、その大変さを乗り越えられているのかというと、果たしてどうでしょう(笑)。
お客さんからの感想に、納得もすれば反省もするし、いろんな気持ちがないまぜになるんですね。自分の至らないところも当然ありますが、それを弁明する機会もないのが辛いかもしれません(笑)。なので、本作もそういった反響に耳を傾けながら、皆さんのお口に合うといいな、と思っています。
――今後、挑戦してみたいアニメはありますか。
自分の好みとしては『世界名作劇場』のような日常性のある作品を作りたいです。さきほど名前を挙げた、僕のルーツの『魔法のスター マジカルエミ』も地味なアニメなんですよ(笑)。それから、ロボットものにも挑戦してみたい気持ちがあります。
ただ、アニメの演出家というのは、お声がかかってから携わることが多い仕事なので、どんな仕事でも来たものにしっかり応えていきたいなと思います。そして、日々やっていることが辛くならないように、「常に現場では楽しく」というモットーでやっていますね。
――最後に、筑紫監督からアニメーション業界を志す若い方へ、メッセージをお願いします。
これからアニメーション業界を目指す方には、いろんなものを観たり、聴いたり、どこかに行ったり、本を読んだり…ということをやってみてほしいですね。というのも、たとえばアニメーションの演出ひとつをとっても、どんなジャンルの作品に関わるかわからない。なので、いろんな引き出しを持ったほうがいいと思うんです。
僕は、ぼんやり生きてきたら監督になっていました。けれど、僕はアニメ業界に入ってから、「もっといろんなものに触れたい」という気持ちで、たくさん映画を観たり、お芝居を観たりしていたんですね。ですから、学生の頃からもっと見聞を広げておけばよかったとも思います。月並みではありますが、これから業界に入ってくる人には「続けていればなんとかなるよ」ということを伝えたいです。
<PROFILE>
筑紫大介 つくし だいすけ
某年節分生まれ、東京都出身。『ひぐらしのなく頃に解』『宇宙兄弟』『アクエリオンロゴス』などで各話の演出や絵コンテを担当。『異世界チート魔術師』では監督を務めた。
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<作品紹介>
『はたらく魔王さま!!』
2022年7⽉14⽇より放送中
<放送情報>
[TOKYO MX]毎週木曜日23:30~
[BS11]毎週木曜日23:30~
[MBS]毎週土曜日26:38~
[AT-X]毎週金曜日21:30~
リピート放送 毎週火曜日9:30~、毎週木曜日15:30~
<配信情報>
ディズニープラス「スター」にて地上波同時・見放題独占配信
<STORY>
異世界エンテ・イスラでは敵同士の魔王と勇者でありながらも、現代日本・東京にて、相も変わらず額に汗して働く真奥貞夫と遊佐恵美。魔王城の面々や恋する女子高生・千穂たちとともに日本の生活に馴染み、経済の荒波にもまれる日々――
ある日、謎の少女が出現して魔王城は大混乱!? まさかの子育てだったり、続々とエンテ・イスラからの来訪者だったり、やっぱり働かなくては家計は支えられなかったり…
魔王城は六畳一間! フリーター魔王さまが繰り広げる庶民派ファンタジー、波乱のTVアニメ第2幕、始動!!
<CAST>
魔王サタン/真奥貞夫(CV:逢坂良太)
勇者エミリア/遊佐恵美(CV:日笠陽子)
佐々木千穂(CV:東山奈央)
悪魔大元帥アルシエル/芦屋四郎(CV:小野友樹)
悪魔大元帥ルシフェル/漆原半蔵(CV:下野紘)
クレスティア・ベル/鎌月鈴乃(CV:伊藤かな恵)
アラス・ラムス(CV:木野日菜)
鈴木梨香(CV:西明日香)
木崎真弓(CV:内山夕実)
エメラダ(CV:浅倉杏美)
猿江三月/大天使サリエル(CV:井口祐一)
ライラ(CV:井上喜久子)
ガブリエル(CV:子安武人)
大黒天祢(CV:甲斐田裕子)
カミーオ(CV:緒方賢一)
<STAFF>
原作:和ヶ原聡司「はたらく魔王さま!」(電撃文庫/KADOKAWA刊)
原作イラスト/キャラクターデザイン原案:029
監督:筑紫大介
シリーズ構成:横谷昌宏
キャラクターデザイン:飯野雄大
総作画監督:たけだ欣弘
デザインワークス:あきづきりょう
グラフィックアート:荒木宏文
美術監督:緒続 学(草薙)
美術設定:成田偉保(草薙)
撮影監督:飯島 亮(旭プロダクション)
色彩設計:手嶋明美(Wish)
3D監督:小川耕平(Marco)
編集:土居秀充
特殊効果:石橋 啓(旭プロダクション)
音楽:中西亮輔
音楽制作:Lantis
音響監督:明田川仁
プロデュース:インフィニット
アニメーション制作:Studio 3Hz
<楽曲情報>
OP楽曲「WITH」栗林みな実
ED楽曲「水鏡の世界」堀内まり菜
<各種詳細>
原作⼩説公式サイト:https://dengekibunko.jp/special/maousama/
アニメ公式HP:https://maousama.jp/
アニメ公式Twitter:@anime_maousama
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