「モビルスーツに感情が見えるようなシーンがある」(逢坂)
次の質問は劇中でのキャラクター同士のドラマや戦闘など、注目して欲しいシーンについて。
佐藤さんは「劇場でしか感じることができない奥行きやスケール感みたいなものを全身で浴びて欲しいです。追加シーンもたくさんあるんですが、そこも新しさだけじゃなく“馴染む”仕上がりになっているので楽しんでください」と映画全体から味わえる雰囲気に注目。
石井さんはマスクとベルリの戦闘シーンに加え、「『G-レコ』は全体的にモビルスーツの目の表現が追加されていて、キア隊長の乗っていた巨大な電子レンジみたいな機体(コンキュデベヌス)の目が潤っとなる感じを見ていて、なんだかちょっと寂しくなりました」と語ると、富野監督がその発言に反応。「寂しくなるという表現にびっくりしたんだけど、その言い方はよくわかるの。僕はその単語が浮かばなかったけれど、すごくいいシーンになったんだよね」と石井さんの想いに同意した。それに続けて石井さんは「シーンの見せ方が変わって新しくなった結果、今までとは違う感じ方ができる表現がたくさんあるので、何度も見て発見して欲しいです」と語った。
嶋村さんは「私は昨日劇場で見ていて、ノレドのセリフがいろんなヒントになっているなと思ったんです。本筋の物語だけじゃなく、物語にちりばめられたヒントをノレドが言ってくれている気がするので、そこを聞いて欲しいですね」と作品世界をより深く理解できるポイントとしてノレドというキャラクターの名前を挙げてくれた。
逢坂さんは「モビルスーツに感情が見えるようなシーンがあって。フォトン・トルピードというすごい兵器を使った後、G-セルフの瞳がベルリの感情と重なるように震えているんです。機械なのに感情があるように見えるのはテレビシリーズではなかったので、そこがとても印象に残りました」と、より密度が増したモビルスーツ描写について感心したことをコメント。
“年寄りの戯言のアニメ”にはしたくない
続いての質問は富野監督に向けて、劇中で描かれる人間の身体性と世界観の描き方について。
富野監督は「モビルスーツの操縦席で、イスに座ったまま半日もいられるか? ということを想像した結果です」という言葉を皮切りに、モビルスーツのコックピットの大きさやトイレの存在、そしてそこから導き出されるモビルスーツの大きさにまでこだわっていることを語ってくれた。
また、劇中では戦闘しながら台詞を言うのは「本当はおかしい」と指摘しつつも、「説明せず映像で描くこともできるけど、それは映画にならない。だから台詞を入れて尺を伸ばしている魂胆もあります。でも“そういうところも見抜けたら面白いぞ”という作り方をしているので、第4部に続いて第5部も見てください」とさらなる楽しみ方を示してくれた。
続いて、メカニカルデザインを務める安田朗氏とのやり取りや、DREAMS COME TRUEの楽曲の完成度に嫉妬するなど、「スタッフとのやり取りが原動力になったのか?」と問いかけられ、「原動力になっているかというよりも、安田朗からケンカを売られ、ドリカムの中村正人さんからもケンカを売られ、それに応えなければならないとなったわけです。彼らとは年齢が30も違うんです。30の年齢差を乗り越えるためにどうするかというと、80のジジイの理屈をそのままぶつけて総監督権限で黙らせることもできますが、それをやってしまうと年寄りの戯言のアニメができてしまうんです。それをしたくないために、全部言うことを聞くし、売られたケンカは買う」と仕事の姿勢を披露。自身より、若いスタッフとのやり取りさえも作品のクオリティアップに繋がっていることを語ってくれた。
ここで楽しいトークの時間も終了。フォトセッションを挟んで、富野監督の挨拶で舞台挨拶が締めくくられた。
「本当に皆さんのご協力をいただけて、ようやく昨日公開となった第4部、そして2週間後には第5部が公開され、『Gのレコンギスタ』は完結させていただきます。本当に長い間ご支援いただきましてありがとうございました。末永く記憶の中に留めていただけたら嬉しく思います」
富野監督によるファンへの感謝の言葉に大きな拍手が贈られ、舞台挨拶は終始和やかな空気のまま終了した。
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<作品情報>
劇場版『Gのレコンギスタ Ⅳ』「激闘に叫ぶ愛」
2022年7月22日(金)より公開中
【メインスタッフ】
総監督・脚本:富野由悠季/原作:矢立 肇、富野由悠季/演出:吉沢俊一(G-レコⅣ、G-レコⅤ)、進藤陽平(G-レコⅣ)/キャラクターデザイン:吉田健一/メカニカルデザイン:安田 朗、形部一平、山根公利/デザインワークス:コヤマシゲト、西村キヌ、剛田チーズ、内田パブロ、沙倉拓実、倉島亜由美、桑名郁朗、中谷誠一/美術監督:岡田有章、佐藤 歩/色彩設計:水田信子/ディスプレイデザイン:青木 隆/CGディレクター:藤江智洋/撮影監督:脇 顯太朗/編集:今井大介/音楽:菅野祐悟/音響監督:木村絵理子/企画・制作:サンライズ/製作・配給:バンダイナムコフィルムワークス/劇場版『Gのレコンギスタ』テーマソングアーティスト:DREAMS COME TRUE/エンディングテーマ:ハセガワダイスケ「カラーリング バイ G-レコ」(G-レコⅣ)
【メインキャスト】
ベルリ・ゼナム:石井マーク/アイーダ・スルガン:嶋村 侑/ノレド・ナグ:寿 美菜子/マスク:佐藤拓也/クリム・ニック:逢坂良太/マニィ・アンバサダ:高垣彩陽/ラライヤ・マンディ:福井裕佳梨/ミック・ジャック:鷄冠井美智子/バララ・ペオール:中原麻衣
【イントロダクション】
さらなる進化を経て、Ⅳ、Ⅴ、2部作連続公開でついに完結!
富野由悠季が原作・脚本・総監督を務め、2019年に全5部作として始動した『Gのレコンギスタ』の劇場映画化が、ついに最終局面に突入! 物語も折り返しを過ぎ、クライマックスへと突入していく第4部「激闘に叫ぶ愛」、第5部「死線を越えて」の2部作が、この夏、連続公開されることが決定した。
テレビシリーズの素材をベースに、ハイクオリティ化を図る形で進められてきた劇場映画化だが、第4部と第5部では、完全新規カットの量が大幅にアップ。その結果、物語自体もテレビシリーズをアップデートした形へと進化。富野由悠季総監督が新たに目指す、劇場版『Gのレコンギスタ』の最終局面はどのように描かれるのか? 人類の未来を見据える壮大なスケールの物語の決着がついに訪れる。
【公式サイト】http://www.g-reco.net/
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