『であいもん』結木梢×追崎史敏監督対談(2)島﨑信長はその場にいるだけで空気をなごやかにしてくれる和(なごむ)そのものの画像
『であいもん』場面カットより(一果と和)

京都の老舗和菓子店を舞台に、人と人の絆とぬくもりを描くアニメ『であいもん』。本作の放送を記念して、「WEB声優MEN」ではヒロイン・一果(いつか)役の結木梢と追崎史敏監督の対談を連載中! 前回は二人が思う原作の魅力を教えてもらったが、今回はアフレコの様子にフォーカス。こだわり抜いた京ことばや、主人公・和(なごむ)役の島﨑信長について、語り合ってもらった。(全3回)

 

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全員が必死で取り組んだ京ことば

序盤の一果は、突然戻ってきたお調子者の和をライバル視。

――実際のアフレコのご様子も伺いたいのですが、今回特に大事にされたことやご苦労されたことというと、何でしたか?

 

追崎 やっぱり京ことばだよね。

 

結木 そうですね、京ことばは大変でした! 京都出身の方が京ことばでセリフを読んだガイド音声をいただいて、それを事前に聴いて練習して、収録当日は監修サポートをいただいた京都出身の声優で出演もされている伊藤彩沙さん、上田瞳さんや原作の浅野先生もリモートで参加されて、細かい部分を教えてくださって。

 

追崎 そもそも指導の方法も手探りでしたから。やっぱりこの作品は、京都の人に違和感を持たれたら終わりじゃないですか。京都の人に受け入れてもらえる京ことばを目指したんですが、京都出身じゃない自分には、小さな違いが本当にわからなくて(笑)。アフレコでは、浅野先生に言われたところをみんなで確認して録り直すという、地道な作業を繰り返していきました。それがちょっと想像を超える大変さで、この作品で京ことばの奥深さが身に沁みましたね。

 

――奥深さと言いますと、例えば?

 

追崎 京ことばってひとつじゃないんですよ。それぞれの地域で、細かいところのニュアンスが若干違ったり、同じ単語なのに語尾が変わったり、イントネーションが変わったり。だからガイド音声と浅野先生の京ことばが違うときもあって、浅野先生が「何かが違うんですが……」と指摘してくださるんですが、最初は何が違うのか1ミリもわからなくて(笑)。

 

結木 本当にちょっとの差なんですよね。

 

追崎 でも浅野先生も京都のご出身なだけで、京ことばのプロではないので。みんなで「どこが違うんだろう?」「どう伝えたらいいんだろう?」と悩みながらやっていきました。

 

結木 本当に大変でしたよね。

 

――地域によって言葉に違いがあるというのは、歴史ある京都ならではですね。そこにお芝居も入れる必要があるわけですから。

 

結木 そうなんです! 役者の間では「これはすごい難問だね」って話してました。

 

追崎 休憩中はみんなでずっと話してたね。

 

結木 はい。強く行きたい気持ちだから頭高(あたまだか。1音目が高く、2音目以降が低いアクセント)になりたいけど、京ことばだと下から入る言葉だったり。「お芝居ではこのニュアンスで行きたい」というのがあるのに、それを優先してしまうと音が違ってしまうことは、結構ありました。でも音だけ合わせればいいわけでもありませんし。

 

追崎 芝居もないとね。

 

結木 このふたつの融合というか、すり合わせをしていくところが、京ことばのお芝居の難しさでした。

 

追崎 キャストはみんな、事前の準備も当日のやり取りも含めて、本当に必死でしたよ。だからこそ収録の合間や終わった後には一気に緊張が解けて、みんなで「あれはああだったね」と話したり相談し合ったりしていました。

 

――コミュニケーションが盛んな、学びの多い現場だったんですね。

 

追崎 特にこの子は、本当に真面目で。

 

結木 いえいえ、他の方より時間があるだけで!

 

追崎 実際、収録では一果のチェックは一番少ないんですよ。まだ新人というくくりだし、毎週のアニメ作品は初めてだと聞いていたので、アフレコは大変かもしれないなと思っていたんですが、全然問題ありませんでした。リテイクを出す回数も少なくて、ちゃんと準備してきているなと感心しましたよ。

 

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