リズム音楽ゲーム「DEEMO」の劇場版が公開間近。ゲームから引き続き、主人公アリスの声を演じるのは、人気声優・竹達彩奈。ピアノの旋律とともに不思議な世界と現実世界を描く本作は、どこか郷愁を持って、観る者を作品世界に誘う。竹達が感じている本作の魅力とは。劇場版『DEEMO サクラノオト -あなたの奏でた音が、今も響く-』作品特集記事として、前編に続き、その想いをお届けしたい。
※ ※ ※
「初恋は『ラピュタ』のパズーでした」
――「DEEMO」は台湾で生まれ、海外でも人気のゲームですが、竹達さんにはどんなファンの声が届いていますか。
私が日本版の声を務めさせていただく前からゲーム自体はリリースされていて、私はもともとそのゲームをプレイしていたんですね。その後にお声かけいただいて、実際台湾でもイベントをさせていただいたこともあります。そのときも、本当にたくさんの方が来てくださって、「アリスの声が竹達さんで良かった」と台湾の方が日本語で喋ってくれたりして、とても温かい気持ちになったと思いました。
――その人気作の劇場版となる今回は、濱田岳さん、渡辺直美さん、イッセー尾形さんらも声優として作品に参加されています。その声を聞かれた感想を教えてください。
アフレコは一人だったのですが、完成版を観て、本当にみなさん素晴らしいお芝居でしたし、キャラクターが活き活きと動いていたのがとても可愛らしかったです。みなさん本業ではないのにも関わらず、キャラクターに命を吹き込んでくださっていて、それがすごいなとあらためて感じました。
――梶浦由記さんが手掛けた主題歌の印象もお聞かせください。
子どもの頃から梶浦さんの楽曲が好きで、別作品でもご一緒させていただいているんですが、今回主題歌を担当してくださって、本当に素敵という言葉しか出てこないくらいに、嬉しい気持ちでいっぱいです。梶浦さんが『DEEMO』の世界観を壮大に広げてくださって、曲を奏でてくださっているんですよね。しかも、すごく温かい気持ちにさせてくれるメロディでもあって、本当に素晴らしかったです!
――本作は、アリスの音楽との出会いをも描いた作品ですが、アーティストとしても活動されている竹達さんにとっての音楽の原点は?
物心ついたときに最初に覚えたのは『君をのせて』です。この曲がテーマ曲の映画『天空の城ラピュタ』はビデオテープが擦り切れるくらい観ていました。だから、私は初恋がパズーなんですよ(笑)。そうして、毎日一人で『ラピュタ』ごっこをして、何役も自分で演じていました。最後のラピュタが成層圏ギリギリにいくシーンまで、ほぼ全部演じきるんですが、頭の中には『君をのせて』をはじめ、ずっとサントラが響いているような感じでしたね。
――それはすごいですね。いまでもセリフは覚えているんですか。
覚えていますね。最初にパズーが「肉団子二つ入れて!」って言うあたりから多分、最初のほうの場面は全部できます(笑)。もう一度始めると、映像とセリフがどんどん頭の中に出てくるんですよね。『ラピュタ』サントラも持っているんですが、どのシーンでどの曲が鳴るのか、すぐわかります。“あ、この曲でロボット兵が出てきた!”みたいな(笑)。それくらいジブリオタクなんです。
――では、最近も聴いているんですね。
未だにジブリのサントラはほぼ毎日家で流していますから。やっぱり、リラックスしたいときに聴くことが多くて、お風呂で聴いたりしていますね。
ただ、今は自分で音楽活動もさせていただいているので楽しいだけでなく、音楽を聴くのが少し苦しいときもあったりとか、いろんな音楽にいい意味で嫉妬したりするようにもなりました。そこは関わり方が変わってきているのかな、と感じたりします。
――作り手ゆえの葛藤が強くなっているんですね。
そうですね。その意味ではハングリーになっているのかもしれませんし、歌い手としての意思が自分の中に強く出てきているのかもしれません。