『劇場版 呪術廻戦 0』監督が語る！アニメーション作りの魅力の真髄とは？【朴 性厚監督インタビュー３】

昨年年末から、2022年年始、ブームを巻き起こしている『劇場版 呪術廻戦 0』。同作の朴 性厚監督にインタビューする連載企画の最終回は、アニメーション作りの魅力をお聞きしています。

※   ※  ※

刺激を受けた細田守監督作品

Q.『エヴァンゲリオン』に影響を受けたという監督ですが、今回、同作に出演されていた、緒方恵美さんほか、山寺宏一さんも出演されていますね。やはり想いは一際大きかったのでは？

「本当に感動でした（笑）。山寺さんにはミゲルを演じていただいたのですが、もう『エヴァ』の加持リョウジとも『カウボーイ・ビバップ』のスパイクとも違う！素晴らしい演技に興奮しました（笑）」

Q.一方、アニメーターとして活躍されるようになってから影響を受けた作品はありますか。

「アニメーターになってからは少し見方が変わってしまったところがありますね。内容よりも、動きしか目に入らなくなってしまった頃もありました。安藤真裕監督の『ストレンヂア 無皇刃譚』は中村豊さんというアニメーターが描いた剣劇のアクションを観て、どうやったら、こんなシーンが描けるのだろうと思い、研究しましたね。他にも雪を利用する演出がとても叙情的で胸が熱くなりました。また、アクションとは違いますが、細田守監督の作品が好きで、全部観ています。ストーリーテリングもそうですし、家族中心に、登場人物の成長を描いていくお話はすごく勉強になることが多いです」

乙骨が自分の足で立っていく姿を感じてほしい

Q.いま、監督にとってアニメ作りの魅力とはどんなところでしょうか。

「一つのコンテンツを作り上げることで、思い描いていた、アニメでやりたいことを達成できることにやりがいを感じています。これは個人的なところではあるのですが、絵を動かすということ。もともとアニメが好きだったのは、当たり前のことですが、静止画が幾重にも重なり、繋がり、動いて見えるからなんです。その静止画を描くことで、キャラクターに命を吹き込むことができる。それは2Dアニメの魅力であり、おもしろさなのかなと思うんです」

Q.今後、アニメ業界を目指す方や志す方にはどんなアドバイスをされていますか。

「これは後輩によく言うのですが、ただ絵を描くだけでは駄目だと思うんですよ。アニメーターは役者でもあると話すんです。キャラクターの動き、感情を描くわけだから当然芝居も解らないと。さらにいろんな情報、アニメ、マンガだけでなく、映画、美術や音楽を見たり聴いたりした経験が活かされる仕事なんです。そこで構造や色味を学ぶことで、自分自身が考えることにも繋がると思うんです。とくにアニメーターでもレイアウトという仕事は、実写だったら美術監督ですよね。そういう仕事をするときになんの知識も情報もないとなかなかいい画面が作れないんです。そこは様々なものに興味を持ち、いっぱい見て、触れて、吸収しないと自分の仕事にちゃんと活かせないと思います」

Q.なるほど。あらためて、『劇場版 呪術廻戦 0』はご自身の中で、どんな作品になりましたか。

「自分で言うのも恥ずかしいですが、素晴らしい作品になったと思います。初めての映画監督ではあるのですが、TVアニメシリーズ同様に、結局はいろんな人に助けられ、支えられて、一緒に作り上げました。この映画の主人公の乙骨も、周りのみんなが支えてくれて、成長してどん底から這い上がっていく。この映画を観て、一人では何もできなかった人間が、自分の足で立っていく姿を感じてもらいたいです」

『劇場版 呪術廻戦 0』

全国公開中

原作：「呪術廻戦 0 東京都立呪術高等専門学校」芥見下々（集英社 ジャンプ コミックス刊）

監督：朴 性厚

脚本：瀬古浩司

キャラクターデザイン：平松禎史

声の出演：緒方恵美　花澤香菜　小松未可子　内山昂輝　関 智一　中村悠一　櫻井孝宏

配給：東宝

© 2021「劇場版 呪術廻戦 0」製作委員会 © 芥見下々／集英社

https://jujutsukaisen-movie.jp/