目玉焼きには何をかける? 細かく設定されたキャラクターの作り方
Q.キャラクター作りで気を付けたところを教えてください。
これはプリエルに限ったことではないと思いますが、彼らの背景は細かく書き込まれています。年表といいますか、生まれた頃から現在までの生い立ちを書いていて、たとえばそこには「目玉焼きには何をかけるか」まで細かく書いてあります。
名前や誕生日もかなり考えています。それから、ぽすと(学園に住んでる猫)が、彼らに対する反応にもけっこう意味があったりもしますので、ぜひチェックして聴いていただきたいですね。現在配信中の「フロムyuzu」を聴き進めると、察しの良い方にはバレてしまいそうですが…!
あとは、彼らの「対比」という点にはこだわっています。例えば、「宇宙一のアイドルになりたいアキト」と「アイドルとは何か自問自答するシン」。「プロ意識が高いyuzu」と「まだまだド素人なアキト」といったように。ほかにもたくさんあるので、ぜひ彼らのことを知ってほしいです。
Q.楽曲に関して、ポエトリーリーディングと王道のアイドルソングの両方を作るということで、音楽へのこだわりも感じられます。作詞などでご苦労だったことがありましたら教えてください。
ポエトリーリーディング楽曲はアイドルたちの内側、心情を彼らの言葉で紡ぐのですが、制作していただいている僻みひなた様(しあわせ学級崩壊)が、設定やシナリオを深く読み込んで作ってくださったため、大変助かりました。
アイドル楽曲は普段アニメソングやキャラクターソングを作っていない方たちにお願いしたため、どんな楽曲が上がってくるのか、最初はドキドキしていました。ですが、初稿の時点でかなりイメージに近いものが出てきました。作詞や歌割は一緒に考えて、コンテンツにとって一番良いものができました。
Q.ポエトリーリーディングの活字量の多さ、また、それをメロディにのせて読み上げるキャストのみなさんの表現力に感動しました。キャストのみなさんの、ポエトリーリーディング楽曲制作でのエピソードがありましたら教えてください。
亜月アキトの話では、土田さんに泣く一歩手前まで感情を出すようにお願いしました。アキトは他の二人よりも普段から表情が豊かなので、ポエトリーリーディング楽曲ではもっとさらけ出してもらいました。あと収録時、同じところで噛んでしまったのですが、そのときのリアクションが亜月アキトそのもので、ポエトリーリーディング楽曲を収録したときが初対面だったのですが、亜月アキトは土田さんしかいなかったなってつくづく思う出来事でした。
yuzuの話では、“最後の一言”をとてもこだわってもらいました。堀江さんにお渡しした資料にのみ、yuzuの本名とこれまでの人生、そして心の底で彼が何を考えているのかを記載していました。土田さんも土岐さんもボイスドラマのシナリオをみるまでyuzuの本名を知りませんでしたが、堀江さんだけ知ったうえで演じてもらっていたので、深みというか、可愛いのにどこか切ないといった表現が生まれたと思います。
冥王院シンの話では、土岐さんにあえて感情を出してもらうようにお願いしました。ポエトリーリーディング楽曲は彼らの心情を詠いあげるものなので、普段感情を抑えているシンが、ポエトリーリーディング楽曲では自分の感情を出しています。「それが、私の人生か?」の部分は普段落ち着いているスタッフが頭抱えて悶えたくらい、素晴らしかったですね。
インタビュー後編は、デビューシングルの制作秘話へ……
『Prince Letter (s)!フロムアイドル』土田玲央さん&堀江瞬さん&土岐隼一さんの特写グラビア&特別鼎談は、「声優MEN VOL.20」に掲載されています