■ジャンプ主人公の中でも屈指の存在!?

 自分の家族を殺した憎き相手であるはずの鬼に対し、炭治郎がここまで寛容になれるのは、やはり鬼と化してしまった妹・禰豆子の存在が大きいと感じる。だが、そこを差し引いても、個人的には最近の『少年ジャンプ』の漫画の主人公の中でも、炭治郎は飛び抜けて優しい性格の男の子だと思っている。

 それに炭治郎が鬼に対して同情的な行動をとったのは、何も母蜘蛛の戦いだけではない。たとえば死にゆく十二鬼月・累に対しても、背中に手を添えるような暖かさを見せた。

 これは累の亡きがらに足を乗せて「人を喰った鬼に情けをかけるな」と忠告した水柱・冨岡義勇とは対照的な描写であり、炭治郎は兄弟子の義勇に足をどけるように要求。そのうえ「鬼は虚しい生き物だ」「悲しい生き物だ」と言い切り、義勇に強く反論していたのが印象的だった。

 それにしても水柱の冨岡義勇であれば「水の呼吸 伍ノ型 干天の慈雨」は当然使えるのだろうが、鬼に対しても慈悲深い炭治郎にこそふさわしい暖かみのある剣技だった。このあと炭治郎は「ヒノカミ神楽」を始め、強力な技を使う場面がたくさん訪れるが、炭治郎の優しい性格にマッチした「干天の慈雨」を繰り出したシーンは今でも忘れられない。

(ふたまん編集部)

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